発信!「昇龍道」の魅力 | 地域観光が担う観光立国としての日本
第7回 リレーシンポ in 東京

 中部北陸の9県が官民一体となって外国人観光客誘致を促進しようという「昇龍道プロジェクト」の取り組みを紹介するシンポジウムが、1月16日に東京・イイノホールで開催された。第7回となるシンポジウムでは、訪日外国人旅行者2000万人という目標達成の観点から、昇龍道プロジェクトを題材として、観光地の魅力創造、効果的な広域連携のあり方、有効な海外発信の方法など、地域観光が担う役割が議論された。

主催者挨拶
中日新聞社専務取締役・東京新聞代表 仙石 誠

観光資源が豊富な昇龍道、北陸新幹線開業にも期待

  3月14日、東京から金沢までを2時間半で結ぶ北陸新幹線が開業します。その車窓を思い浮かべてみますと、長野の軽井沢を越えると浅間山が見える。そして、新潟では妙高山を、富山では立山連峰を眺めることができます。たった2時間半という短い旅で、これほど美しい自然の風景が続くのは、国内ではなかなか見つかりません。また、外国人に聞くと、日本の魅力は和食、鉄道の正確さ、温泉など。昇龍道には全てが揃っており、中でも食は豊富です。富山のブリに福井のカニ。南へ下れば三重の伊勢海老にアワビ。静岡のウナギは有名ですが、実は愛知のフグも絶品です。こういった魅力を世界に発信し、外国からの観光客を誘致しようというのが、昇龍道プロジェクトです。今回のシンポジウムは初めてのエリア外、そして東京での開催。首都圏の方がこのプロジェクトについて少しでも理解を深めていただく機会になれば幸いです。

来賓挨拶
観光庁長官 久保 成人氏

2020年東京五輪までにインバウンド2千万人が目標

 訪日外国人数が2013年に史上初の1000万人を突破。昨年2014年には1300万人を超えました。また、昨年6月に安倍総理主催のもと行われた観光立国推進閣僚会議で、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに訪日外国人数年間2000万人を目標とすることが決定。この目標を達成するためには、特定の地域やルートに集中している外国人を、他の地域やルートにも持っていかなければいけません。そのため、1月14日に閣議決定された来年度の政府予算案で「広域観光周遊ルート形成促進事業」という観光庁の新たな事業の予算を創設。この事業などにより、地域が一体となって広域のネットワークの形成に取り組み、個性あふれる地方の創生と観光資源を最大限に生かした交流人口の拡大、それぞれの地域での消費の拡大を目指し、日本全体の観光振興を進めていきます。こうした国の取り組みの中では、昇龍道プロジェクトは先進的な事例。2000万人を達成するために重要な役割を担うプロジェクトだと期待しております。

後援/
国土交通省、観光庁、中部運輸局、北陸信越運輸局、中部経済連合会、北陸経済連合会、昇龍道プロジェクト推進協議会、名古屋鉄道、ANA、中部国際空港、JTB中部
協力/
日本観光振興協会、中部広域観光推進協議

アジアNo.1観光立国への道のり 〜訪日外国人旅行者2000万人達成に向けた地方への期待〜

外国人目線で魅力を絞り込み広域連携したPRが必須


松山 良一(まつやま・りょういち)氏

日本政府観光局理事長


鹿児島市出身。1972年三井物産入社。1995年イタリア三井物産社長(1997年-1999年在イタリア日本人商工会議所会頭)。1999年三井物産広報室長。2008年駐ボツワナ日本国特命全権大使。南部アフリカ開発共同体(SADC)日本政府代表。2011年独立行政法人国際観光振興機構理事長。

 訪日外国人数年間2000万人という目標を達成するためには、クリアしなければいけない課題が多くあります。

 まず現状に目を向けますと、ビジット ・ ジャパン・キャンペーンが始まった2003年時の訪日外国人数は520万人。これから劇的に増え、2014年に1300万人を突破したものの、訪れる外国人の数は国別で27番目。アジアでも8番目に甘んじています。しかし、日本に観光の魅力がないか、というと決してそういうわけではなく、アメリカのブランドコンサルティング会社・フューチャーブランドが発表した世界各国の旅行者の意見を集めた国別ブランド評価ランキングで、日本は総合ランキングで1位、観光のランキングでも2位に選ばれています。

 観光資源はあるにも関わらず、外国人には伝わっていない。この課題を解消するため地方に期待することは、その魅力をさらに磨くことと、人の意識改革です。日本人は優しいのですが、外国人を見ると逃げ出してしまうことも多い。全ての日本人が外国人を笑顔で迎え入れる、そんな意識に変化する必要があります。そして、外国人の目線になって魅力を発見し、より良い環境を作り出すことが大切。好例としては長崎の小値賀(おじか)島が挙げられ、アメリカ人のアレックス・カーという人が、人口2000人程度の集落に外国人が求める日本の魅力を見出し、古民家を改装したレストランや宿泊施設を作りました。以来、多くの外国人が訪れています。

広域連携したPRについて語る松山氏
広域連携したPRについて語る松山氏

 また、魅力を伝えるためには、それを絞り込むことも重要。最近は各都道府県の知事が海外でトップセールスを行うことがありますが、宣伝したいものを多く伝え過ぎると、受け手に伝わり難くなることがあるのです。魅力の絞り込みをして成功した一つの例が、長野・志賀高原のスノーモンキー。こちらでは、冬の雪景色の中、温泉などを楽しむニホンザルだけを売り出し、多くの外国人を集めています。そして、訪れた人はスノーモンキーだけだと思っていた場所で、食や温泉、スキーなど他の魅力に出会い感動し、また訪れたいと思うようになるのです。

 同時に、プロモーション活動において忘れてならないのは一つの地域だけでなく広域で連携すること。その点、「北陸飛騨3つ星街道」で連携する金沢、五箇山、白川郷、高山を例に挙げるまでにもなく、中部・北陸圏の9県と1351もの団体が集まって外国人誘致を推し進めている昇龍道プロジェクトは成功例といって良いでしょう。

 日本政府観光局においては、観光庁などと共に、マーケティングを科学的に行い、観光ビザ発給要件の緩和や消費税免税制度を活用した誘客、シームレスなWi-Fi環境の整備、ホテルやバスなどの不足の解消といったことをより強力に推進。昇龍道プロジェクトにも、その役割を大いに期待しております。

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