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【東京エンタメ堂書店】

<小林深雪の10代に贈る本>児童文学作家がご案内 未知の自分に会いに行こう

 「読書は、自分が自分にかける電話のようなもの。自分で自分と話をする方法なのです」

 詩人の長田弘さんは、そう書いています。本を読んで、共感したり反発したり、泣いたり笑ったりしながら、未知の自分に出会う。その喜び。

 これから月に1度、10代のみなさんを、深くて広い本の森の入り口に、ご案内します。もちろん、かつて10代だったことのある大人も大歓迎。さて、「1回めは、自己紹介も兼ねて自著を紹介してください!」という嬉(うれ)しいお言葉に甘えて、わたしの本を何冊か。

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 <1>『泣いちゃいそうだよ』(講談社青い鳥文庫、六七〇円)。二〇〇六年から始まったシリーズで、今年で十二年目。今までに二十八冊の本が出ています。小・中学校が舞台で性格の違う様々(さまざま)な主人公が登場。友達、部活、受験やいじめ、家族、容姿、好きな人のことなど十代の身近な悩みがテーマです。

 例えば、昨年出した『ちゃんと言わなきゃ』は、スマホ疲れの読者たちからの声を受けて書いた本です。「SNS(会員制交流サイト)やメールではなく、大事なことは直接会って言葉で伝えよう」という思いを込めました。また、高校生編も出ていて、二月に小川凜(りん)・高校完結編『未来への扉』が発売されます。

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 シリーズ以外の最新刊は、<2>小林深雪・みうらかれん・安田夏菜・如月(きさらぎ)かずさ・市川朔久子(さくこ)著『14歳』(講談社、YA!アンソロジー、一〇二六円)。五人の作家による十四歳をテーマにした短編集です。わたしは、「さよなら十四歳の夏」という、教室という狭い世界で傷つき、傷つけあう少女たちの物語を書きました。ちなみに、わたしも十四歳の頃はまさに中二病真っ只中(ただなか)。太宰治の『人間失格』を読んでいたら、国語の先生が「あなたには早すぎる!」と慌てて『次郎物語』を贈ってくれたことが。

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 <3>小林深雪・福田里香著『児童文学キッチン お菓子と味わう、おいしいブックガイド』(講談社、一四〇四円)。「若草物語」「だれも知らない小さな国」「ふたりのロッテ」など、わたしが読んできた大好きな児童文学に関するエッセーと、それにまつわるお菓子とそのレシピが掲載された本。お菓子研究家の福田さんは武蔵野美術大学の同級生。お菓子のカラー写真やレイアウトなど、二人で打ち合わせを重ねて作った大切な一冊。

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 <4>『白鳥の湖』(講談社、一二九六円)。クラシックバレエの名作「白鳥の湖」を、自分なりの解釈で、細部まで表現にこだわって童話にアレンジしてみました。バレエに興味のない人にも読んでほしい本。

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 そして最後に、真冬にぴったりの一冊を。<5>トーベ・ヤンソン著『ムーミン谷の冬』(講談社青い鳥文庫、六七〇円)。家族みんなと冬眠していたムーミントロールは、なぜか、ひとりだけ目を覚ましてしまいます。初めて知る北の国の凍(い)てつく冬。真っ暗な極夜と雪とオーロラ。見知らぬ世界の孤独と恐怖の中で、いかにムーミントロールが冬を生き抜いていくか。

 凍てつく冬の物語を暖かな部屋で読むのは最高の贅沢(ぜいたく)です。わたしの書いた巻末エッセーも付いていますよ。

 (こばやし・みゆき=児童文学作家)

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 今十代のあなた、昔十代だったあなたへ、児童文学作家の小林深雪さんがお薦め本を紹介するエッセーを今月から始めます。毎月第四月曜に掲載します。    

 

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