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【東京エンタメ堂書店】

講談社・BE・LOVE編集部 岩間秀和編集長 多彩な愛でハッピーに

 二十四年前に週刊誌を希望して入社したはずが、どこをどう間違えたのか女性コミック編集部に配属、あっという間にこの世界にどっぷり浸(つ)かったわけだが、それくらい「BE・LOVE」の世界は、こんな男を受け入れてくれる“懐の深さ”、つまり多彩なテーマの漫画を許容する点が大きな魅力の一つだと自負できる。

 読者アンケートをとると、驚くことに十代〜八十代までの女性から回答をいただく。基本は大人の女性をターゲットとして発信しているつもりだが、最近は母娘で読む方も増えているそう。そのきっかけになったのは、今年で連載十年目となる『ちはやふる』。競技かるたに懸ける青春を描いた高校生の部活漫画は、昨年映画化され続編映画も準備中の大ヒット作品だ。

 従来は高校生を主人公にする漫画は限りなくNGに近かったが、主人公をはじめ、かるた部の眩(まぶ)しいほどの想(おも)いが、大人の読者の心を動かした。年を経るごとに青春は遠き日になっていくが、漫画で青春を追体験したいという(私を含めた)読者に寄り添った『ちはやふる』は誌面を大きく動かしたと言える。

 この『ちはやふる』や左欄で紹介する『人は見た目が100パーセント』など、BE・LOVE作品の実写化が続いている。リアリティーのあるうちの作風が実写化に向いていたということだが、最近の傾向としてお仕事もの、つまり特殊な世界を取材しながら描く作品が好評を得ているのも特徴的だ。

 葬儀業、小学校の保健室、大学の法医学教室など「ちょっと重たそう」という題材が少なくないが、現実が抱える問題をベースに、マイナスを抱える人がゼロになるだけでなく、プラス10くらいまで幸せになれるような、カタルシス(感情が解放され気持ちが浄化すること)のあるドラマを描いていることが魅力といえる。

 女性向け漫画=恋愛漫画とイメージする方も多いが、「BE・LOVE」の「LOVE」は、恋愛だけでなく家族愛、夫婦愛、友愛、仕事愛、そして動物愛の「LOVE」。これからも多彩な愛の形を提示していくので、難しいことは抜きにして楽しんでもらえたらと思っている。

◇お薦めの3冊

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◆老いて謳歌する「今」

<1>おざわゆき著『傘寿まり子』(既刊2巻、各626円)傘寿、つまり80歳の大ベテラン女流小説家が、一念発起をして家出するところから物語が始まる。平均寿命からしてもあと10年ほどの「余生」を文字通り「余生」とするのか、それとも更(さら)なる刺激を求める10年にするのか。初体験のネットカフェ、通信型ゲームでの新たな出会いなど、今時と老いとのせめぎ合いの中で、日々を謳歌(おうか)する描写が新しい。3巻は5月発売。

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◆税滞納者の背景には

<2>慎結(しんゆい)著『ゼイチョー!〜納税課第三収納係〜』(既刊3巻、各626円)市役所の納税課に配属となった新入職員。滞納者に対して正義を持って督促をするが、次第に滞納者の背景に気持ちが及ぶようになり、痛快でありながらも、国民の義務である納税を滞らせる事情に寄り添う優しさと主人公の成長を描き出す好著。4巻は5月発売。

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◆リケジョが美を分析

<3>大久保ヒロミ著『人は見た目が100パーセント』(既刊4巻、各626円)流行の美容、ファッションについていけない、女子でありながら女子でない「女子モドキ」(JSM)のリケジョ3人組が、最新のトレンドを理系ならではの視点で、面白おかしく分析するギャグ漫画。テレビドラマが13日より放送開始。

◆著者の横顔

<いわま・ひでかず> 入社以来「BE・LOVE」ひと筋。2012年より現職に。過去の担当作は『だいすき!!ゆずの子育て日記』(愛本みずほ)、『ハルコイ』(末次由紀)、『言霊(ことだま)』(山岸凉子)、『ピーチガールNEXT』(上田美和)ほか。女性の一代記漫画をやりたくて、森絵都さんの小説『みかづき』に興奮しています。46歳。

似顔絵・アサミジョー

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