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【東京エンタメ堂書店】

<小林深雪の10代に贈る本>個性的に生きたいなら「好き」を貫く

 自分らしく個性的に生きたい。独自の世界を持った大人たちは、どうやってその個性を手に入れたのでしょう? 教科書では物足りない。そんな時は、伝記を読んでみませんか? 生き抜くためのヒントもたくさん詰まっていますよ。

◆ボサボサ頭もかっこいい!?

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 <1>岡田好惠・文、佐竹美保・絵『アインシュタイン』(講談社火の鳥伝記文庫、七九九円)

 まずは読みやすい十代向けの伝記シリーズを。リニューアル創刊したばかりの火の鳥伝記文庫は、祖父江慎さんによる装丁で、荒俣宏さんの解説が読める「アラマタ新聞」付き。まさに自分流の生き方をしている大先輩たちが本作りに関わっている、そのこだわりが楽しい。その荒俣さん曰(いわ)く、「エライ人って、なんておかしいんだろう!」。

 そう、あの舌を出しているユーモラスな写真で有名な天才アインシュタインも、子どもの頃は無口で、体育が苦手で友達もできず、学校が大嫌い。でも、代数を解くのはゲームのようで楽しく、数学だけは独自に学んでいたそう。

 のちに、ノーベル物理学賞を受賞し、アメリカで大学教授になってからも、いつもあのボサボサの白髪に古いセーターとサンダルばきで靴下もはかず、周囲の人に、冗談のネタにされていたそう。

 でも、オシャレする時間があれば一分でも好きな研究の方に回したかった。そう聞くと、あのボサボサ頭が、かっこよく思えてきますよね。

◆山中先生は鈍くさかった

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 <2>山中伸弥、緑慎也『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』(講談社+α文庫、六二六円)

 ノーベル賞といえば、日本には、iPS細胞の発見でノーベル医学生理学賞を受賞した山中先生がいます。「大人になったらなりたいもの」調査で、サッカーなどのプロスポーツ選手を押しのけ、十五年ぶりに「学者・博士」が男子の一位になったのも、山中先生の影響が大きいはず。その山中先生が、この本で、自分を「鈍くさい」と言っていることにまず驚きました。

 整形外科医の研修期間中は、教授に「ジャマナカ」と呼ばれ、人が二十分で終わる手術が緊張のあまり二時間かかったそう。自分は整形外科医に向いていないんじゃないかと悩み、壁にぶつかったことが、その後の研究者という新しい道に繋(つな)がっていくのです。<いちばん辛(つら)いときは、その辛さを克服できる一歩手前だ。もう一踏ん張りすれば新しい展開が待っている。>。その言葉に勇気をもらえます。

◆鼻整形を拒み世界一の女優

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 <3>ペネロープ・バジュー『キュロテ 世界の偉大な15人の女性たち』(DU BOOKS、一九四四円)

 時代を切り開いてきたパワフルでユニークな十五人の女性たちの人生がポップな絵柄と色彩のカラーコミックで描かれます。ちなみに、フランス語圏での漫画は、「バンド・デシネ」といい、バジューは人気女性作家の一人です。

 登場するのは、例えばアメリカの女優マーガレット・ハミルトン。女優志望だったマーガレットは、受けたオーディションで「鼻を直せ」と言われます。でも、彼女は整形を拒み、逆にその個性的な鼻を生かして映画「オズの魔法使い」の魔女役に選ばれ、世界一のホラー女優になります。

 また、「ムーミン」の作者トーベ・ヤンソンは、ディズニー社からの多額の使用権買収の申し出を断り、パートナーの女性とのつつましい生活を大切にしました。

 自分らしく生きる秘訣(ひけつ)は、好きなことには、とことんのめり込み、他人のルールではなく、自分ルールで生きることを貫くこと。この三冊がそう教えてくれます。

 <こばやし・みゆき> 児童文学作家。『これが恋かな?(1)』(講談社青い鳥文庫)発売中。

 

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