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【東京エンタメ堂書店】

新社会人のあなたへ 「五月病かな」と思ったら

 この春、社会人になった皆さん。元気に働けていますか。つらく感じたり「五月病かな?」と思ったりしたら、本の世界に逃避行してみませんか。新刊の中から、あなたの味方になってくれそうな本を紹介します。 (岩岡千景)

◆ネガティブなときもあるさ

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 栄養ドリンクを飲むような気楽さで読めるのは<1>辻仁成著『立ち直る力』(光文社、九九四円)。芥川賞作家が「底知れぬ苦しさの中で湧き出た言葉たち」をまとめた本です。もともと息子さんに向けた言葉が多いこともあり、すっと心に入り込んで優しく元気づけてくれます。

 <今、ちょっと鬱(うつ)かな、と気がつく瞬間ない?/そういうとき、父ちゃんはね/「でも生きてんだもん、鬱なんか当たり前じゃん、/なんか失うもんあんのかよ?」と、/軽く自分にキレてみたりするんだけど、これ、効きますよ。/ネガティブなときもあるさ、生きてんだもん。/ピース。>

 辻さんは、フランス在住。「フランス人はなぜストレスがないの?」と現地の友人に聞いたら「一年じゅうバカンスのことを考えているから、ストレスを抱えるひまがないんだよ」「人生を楽しむことがストレスに勝つ唯一の方法だよ」と答えたとか。確かに、休みは気持ちを回復させますよね。

◆「自分がダメ」と思わないで

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 休みなんて考えられないほど追い込まれてしまったら、<2>佐々木常夫著『働くのがつらいのは君のせいじゃない。』(ビジネス社、一二九六円)を手に取ってください。

 東レ元取締役で、働き方に関する著作の多い佐々木さんは、私たちは本来「幸せになるために働く」のだと強調します。なのに仕事で死に追いやられる若い人が相次いでいるのは、会社や組織への思い込みや先入観が「働く人をもがき苦しませている」から。そんな状況から脱して希望を回復させる、ものの見方や仕事への向き合い方を教えます。多くの人が悩む「パワハラ」は「している本人にはもちろん、受けている本人にすら『やってはいけないこと』だと気づいていないケースが少なくない」と指摘。「『耐えられない自分がダメ』と思う必要などない」と助言します。

 <多くの親は、つらくてもがんばることなど期待していません><つらいときは誰かを頼って、口に出して相談してください>。心身ともに疲れ果て、判断力を失う前に、心に留め置いてほしい言葉も載っています。

◆上司が「屑オヤジ」だったら

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 <3>坂上忍著『おまえの代わりなんていくらだっている−覚悟の仕事論』(新潮新書、八六四円)にも、仕事や人間へのうなずける考察が入っています。毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい著者ですが、仕事は「正解があるようで、実は明確な答えは存在しない世界」と書きます。その通りではないでしょうか。

 また昨今、「結果が出た場合は俺の手柄、失敗した場合は奴(やつ)のせい」と、手柄を独り占めして責任からは逃れる「屑(くず)オヤジ」が「増殖傾向とおもわざるをえません」といい、若い人にこう助言します。<運悪く屑オヤジの下で働かざるをえなくなったとしても、すぐに逃げ出しちゃダメよ><しばらくは人間観察に勤(いそ)しまないと。じゃないと気がついたら自分自身が屑オヤジになっちゃってますからね>

 もう一冊。再編集して刊行された、精神科医で随筆家の斎藤茂太さん(一九一六〜二〇〇六年)の『悩む人ほど強くなる』(小学館、一〇八〇円)に、こんなくだりがあります。<自分はまったく不完全で、何もかもこれから努力して、一つひとつを埋めていかなければいけないと考えたほうがいい。それが人生をつくり、生きる知恵を生み出すのである>

 そう、明確な答えが存在しない世界で不完全な私たちが悩むのはいわば、当たり前。気を楽にしていきましょう。

 

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