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【東京エンタメ堂書店】

<小林深雪の10代に贈る本>年末年始 読めば開運!?

 一冊の本の中に、なにか一つでも心に残るものがあれば、それがあなたにとっての良い本です。もうすぐ今年も終わり。今回は年末年始に読みたい! タイトルだけでめでたい! 読めば開運!に、なりそうな本を3冊選んでみました。 

◆意地悪は無視!まっすぐ進め

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 <1>山本幸久『幸福ロケット』(ポプラ文庫、六〇五円)

 小五の香な子は、両親のとある都合で転校することに。小学校の校舎はボロボロだし、自分の部屋は半分の狭さになってしまって、がっかり。同じクラスの小森くんと少しずつ親しくなっていくけれど彼にも家庭の事情があって……。 

 初恋未満の二人の関係が、ほのぼのしていて笑えて可愛(かわい)くて、応援したくなります。

 車のジャガーをぶっ飛ばす元モデルの担任の先生や、売れない漫画家でお調子者の叔父さんなど、脇役もキャラが立っていて楽しいです。

 将来、自分がなにになりたいのか、香な子にはまだわかりません。でも、香な子は、一生懸命勉強すれば、それがだんだんわかってくると信じています。そして、小森くんのために、自分ができることを考えます。自分から行動を起こすことで心が変化し、香な子は成長していきます。

 でも、そんな時、必ずと言っていいほど周りで意地悪を言う人が出てきます。が、そんなの無視するに限ります。その人は、あなたのことがうらやましいだけなのだから。

 十代は幸せな未来に向かって、ロケットみたいにまっすぐに進めばいいのです。 

◆幸せとは? 笑いながら考えよう

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 <2>瀬尾まいこ『強運の持ち主』(文春文庫、五七二円)

 元OL、現占い師が主人公です。その名もルイーズ吉田。

 占った中でかつてない強運の持ち主だった恋人と暮らしているけれど、彼はいたって平凡で何もなしとげていない。それどころか、クリームシチューにちくわを入れるなど、変な料理ばかり嬉々(きき)として作っている……。

 占い師の舞台裏もいろいろとわかります。占い師は、姓名判断や四柱推命なども参考にするけれど、お客さんの話し方や容姿を見て判断することも多い。八割が恋愛相談。

 そして、お客さんはどうでもいい些細(ささい)なことから、人生がかかる重要なことまで、占い師に打ち明けにやって来る。だから、大事なのは正確に占うことではなく、相手の背中を押してあげること。

 占いとは? 強運とは? 幸せとは? 笑いながら、人生を考えさせてくれる一冊です。

◆好きな人ができたら「祝婚歌」

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 <3>小池昌代編著『おめでとう』(新潮社、一〇八〇円)

 卒業、入学、結婚、出産、旅立ちなど三十二のお祝いの詩を集めた詩集です。選ばれているのは、例えば、吉野弘さんの「祝婚歌」。これは結婚する二人に贈る詩です。わたし自身も自戒のために時々読み返すのですが、好きな人ができた十代にも読んでほしい。

<二人が睦(むつ)まじくいるためには/愚かでいるほうがいい/立派すぎないほうがいい/立派すぎることは/長持ちしないことだと 気付いているほうがいい/(中略)正しいことを言うときは/少しひかえめにするほうがいい/正しいことを言うときは/相手を傷つけやすいものだと/気付いているほうがいい(後略)>

 また、卒業生には谷川俊太郎さんの「卒業式」を。

<ひろげたままじゃ持ちにくいから/きみはそれをまるめてしまう/まるめただけじゃつまらないから/きみはそれをのぞいてみる(中略)きみは見る(中略)/正体をあらわさない/そのくせきみをどこまでも/いざなうもの/卒業証書の望遠鏡でのぞく/きみの未来>

 それではみなさま、良いお年&良い本を!

  *毎月第四月曜掲載。

<こばやし・みゆき> 児童文学作家。『わたしを決めつけないで』(講談社YA!アンソロジー)発売中。

 

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