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【東京エンタメ堂書店】

今こそ、スポーツの素晴らしさを!

 2019年はラグビーW杯、来年は東京五輪とこれからスポーツのビッグイベントが続々と日本で開かれます。そんな今だからこそ、スポーツを心から堪能できる2冊を厳選しました。 (運動部長・谷野哲郎)

◆競技、仲間、ライバルと

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 最初に紹介するのは、弓道をテーマにした<1>『ツルネ −風舞(かぜまい)高校弓道部−』(綾野ことこ著、KAエスマ文庫、700円)。昨秋から先月までNHKで放送され、話題を集めた人気テレビアニメの原作小説です。袴(はかま)姿の男子高校生のりりしさに心を射抜かれた人も多いのではないでしょうか。

 主人公の鳴宮湊(みなと)は風舞高校1年生。入学したのに、大好きな弓道部に入ろうとしません。理由は弓のイップスといわれる「早気(はやけ)」。自分の意志に反し、矢を早く放ってしまう運動障害に罹(かか)り、弓を引くのが怖くなったのでした。

 そんな湊を変えたのは青年弓道家・滝川雅貴(まさき)との出会い。「マサさん」こと雅貴の指導を受け、湊は弓道部に入る決断をします。そこに待っていたのは静弥(せいや)、遼平、海斗、七緒の個性あふれる仲間たち(筆者は静弥推し!)。彼らと何度もぶつかりあいながら、友情を育んでいくのです。

 「ツルネ」とは聞き慣れない言葉ですが、「弦音」と書き、矢を発したときに鳴る弦の音のこと。湊は失敗を繰り返しながら、正しい射法で美しい弦音を鳴らそうと努力を重ねます。テレビ放送も「さすが、京都アニメーション!」と唸(うな)る出来栄えでしたが、小説は細かい設定が違う上、2巻でライバル・藤原愁(しゅう)との縁由(えんゆ)が詳しく描かれます。続きが知りたい人はぜひ読んでみてください。

◆真摯に向き合う

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 さて、弓道が「静」のイメージなら、こちらは「動」。<2>『2.43 清陰(せいいん)高校男子バレー部 春高編』(壁井ユカコ著、集英社、1836円)はいかがでしょう。バレーボールを扱った2.43シリーズの最新作です。

 福井県の清陰高校の男子バレー部は、少し前まで弱小チームでしたが、灰島公誓(きみちか)と黒羽祐仁(くろばゆに)が入部してから急成長。県の代表にまで上り詰めます。本書は「春高バレー」と呼ばれる全国大会の激闘を描きます。

 他人とうまくコミュニケーションが取れない天才セッターの灰島、抜群の身体能力を持ちながら精神的に弱いウイングスパイカーの黒羽。2人が刺激し合う様子がたまりません。クライマックスの準決勝・景星戦はまるで自分がコートでボールを追っているよう。そして、驚きの終盤。予想外の展開に続編が待ち遠しい人も多いはず。

 謎の数字「2.43」は、高校男子の全国大会のネットの高さ2メートル43センチの意味。バレーボールといえば、漫画の「ハイキュー!!」が有名ですが、この小説も面白さでは負けてはいません。「わくわくせんか? これこそ男バレやろ? これがみんながやってるバレーやろ?」。女子マネ・末森(すえもり)のセリフに胸が高鳴りました。

 今回、この2冊を薦めたのは「ゴールデン・スポーツイヤーズ」の始まりを祝してのこと。2019年のラグビーW杯、20年の東京五輪・パラリンピック、21年に開かれる中高年の国際大会、ワールドマスターズゲームズ関西と、3年連続で世界的なイベントが日本で開催されることから、スポーツ界では今年からの3年を「ゴールデン・スポーツイヤーズ」と呼び、過去最高の盛り上がりを期待しています。

 競技の特性が違う2作ですが、共通するのは、努力を繰り返し、仲間、ライバルと真摯(しんし)に向き合うこと、損得なしに誰かを応援すること。本を読みながら、今こそ、スポーツが持つ素晴らしさを確かめてみませんか。

 

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