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【書く人】

信仰と支持 関係たどる『内側から見る 創価学会と公明党』 出版社社員・浅山太一さん(34)

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 宗教団体「創価学会」の会員家庭に生まれ育った。家族はクリスマスを祝わなかった。幼稚園の友達が「本当はサンタなんておらん」と言っても「サンタ」が何か分からなかった。

 創価学会は日蓮の教えに基づく仏教系の団体だ。一九九九年以降、民主党政権時代を除いて自民党と手を組み、政権の一翼を担う公明党の支持母体でもある。

 東京・八王子の創価大に通っていたとき、イラク戦争が勃発。公明党は米国の開戦の判断を容認し、与党として自衛隊のイラク派遣などを進めた。「賛成できない政策を支持する政党を応援しなければいけないのは、とてもつらいことだった」と振り返る。大学では社会学を学び、博士課程前期まで進んだ。書店員を経て、現在は出版社の営業担当として働いている。

 第二次安倍政権では、特定秘密保護法や安保法制の是非を巡って学会員同士の対立が目立ち始めた。「イラク戦争のときの自分みたいに苦しんでいる会員がおるんやったら、どうにかしたいと思った。どんな理由で私たちは政治に参加したか、まずは経緯を確かめたかった」。本書の第一章に当たる論考をネットに公開したところ話題を呼び、出版社の目に留まった。

 本書は戦後の創価学会の拡大や公明党の政界進出の経緯を振り返り、党の存在や政策を創価学会側がどのように受け止めてきたかを追った。近年の傾向として党の支援を創価学会の信仰に結び付ける言説が内部に目立つと指摘し、<公明党支援に賛同できない学会員が今後よりいっそう活動に参加しづらいことになるだろう>と警鐘を鳴らした。

 執筆を決意した背景には、従来の公明党や創価学会の研究に対する不満もあった。「与党とその支持母体にもかかわらず、まともな研究がほとんどない。称賛と罵倒だけ。それなら自分でやろうと思った」。著述活動は今後も続ける。本書には<社会と学会の双方が「創価学会と公明党というテーマ」をともに論じるための足場を構築することを目指す><私はこの実践に人生をかける>と強い言葉で決意をつづった。「会の内部も、会の内と外も『仲良くみんなで考えよう』というのが私の主張。それが組織を受け止めたり、つきあったりしていくために一番大事なことだと思っています」。ディスカヴァー携書、一〇八〇円。 (小佐野慧太)

 

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