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【書評】

消えゆく「限界大学」 小川洋 著

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◆質的向上怠った末に

[評者]鷲田小彌太=哲学史家

 本書は、定員割れが続く弱小私大の構造的欠陥を、「短大問題」に焦点を当て論じた労作だ。要約しよう。

 短大は戦後の新制大発足期から深刻な問題、大学「未満」、専門校の「延長」という制度的欠陥を抱えてきた。ところが大学進学者数が急増し、短大は「安直」に四年制大に昇格する好機がやってくる。形だけの四年制大が膨大な余剰金を手にできた。大学バブルだ。だが少子化到来である。定員割れの弱小私大が残る。その最大欠陥は、大学の質的向上をないがしろにし、入学者増に狂奔した、大学人としてふさわしくない、経営者(理事長等)の儲(もう)け主義や「昇格」への名誉欲にある。もちろん、少数の「成功」例、質的充実を図った武蔵女短(札幌)や目白大(東京)等はある。参照すべきだ。

 たしかに、これは深刻な事実だ。だが強大大学もバブル期に狂奔した。早慶を頂点に「環境」「情報」「国際」などを冠した(だけの)学部を新・増設し、定員・入学者増に走る。しかも大学バブル期以前、ほとんどの私学で「定員割れ」は慢性的だったのだ。

 問題の核心は文科省が許認可する「定員」枠にこそある、というのが評者の見解だ。「定員」には国の助成金がつく。日本の大学が、アメリカと違って、「潰(つぶ)れ」ない(にくい)理由だ。こういう視点も(こそ)必要ではないだろうか。

 (白水社 ・ 2160円)

<おがわ・よう> 1948年生まれ。高校や私立大の教員を経て、教育研究者に。

◆もう1冊 

 鷲田小彌太『こんな大学教授はいりません』(言視舎)。リストラ時代の大学に必要な人材やその基準を提示する。

 

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