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【書評】

土木技術の古代史 青木敬 著

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◆役夫の癖も手掛かり

[評者]土生田純之=専修大教授

 本書は、これまで等閑視(とうかんし)されてきた古墳や寺院をはじめとする建造物構築技術の解明を試みた意欲作である。著者には既に古墳築造技術の解明に取り組み、列島東西の構築技術の相違等について学界に裨益(ひえき)した研究書があるが、分析対象の古墳が主に前半期古墳に限られていた。

 今回は対象古墳を全時代に広げ、築堤や寺院、道路等の構築技術にも分析を加えた。こうして主として後期古墳に見られる敷粗朶(しきそだ)・敷葉(しきは)工法という技術が、築堤や道路建設とも密接に関連する工法であることを豊富な事例で解説する。さらに版築(土壁や城壁、寺院建築の基礎となる土壇にみられる土を固める工法)の解明へと進むが、寺院をはじめ宮殿建築にも比較の刃を向け、微細な差異にも注目した結果、そうした工法をもたらした大陸との関係、外交関係へと話は進む。

 評者が特に注目したのは、礎石を据える掘方の差異を掘削に従事した作業員の「くせ」とみなして、初期律令時代における役夫(えきふ)編成の在り様に言及した部分である。現在の京都府木津川市にあった恭仁宮(くにきょう)の瓦の分析から古代宮殿建築体制の実態分析に及んだ上原眞人の仕事に比肩される可能性を予感した。

 本書は豊富な資料を駆使し、研究書というより教養書でありながら、水準を落とすことなく、平易な文章で綴(つづ)った好著である。一読を勧める所以(ゆえん)である。

(吉川弘文館 ・ 1944円) 

<あおき・たかし> 1975年生まれ。国学院大准教授。著書『古墳築造の研究』など。

◆もう1冊 

 窪田蔵郎著『鉄から読む日本の歴史』(講談社学術文庫)。大和朝廷を支えた鉄器など、鉄と日本の二千年をたどる。

 

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