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【書評】

その介護離職、おまちなさい 樋口恵子 著

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◆諦めないための提案

[評者]落合恵子=作家

 「ながら」介護についての、大局的にして具体的な、力強い提案の書である。

 仕事に限ることなく、可能な限り楽しみも諦めない介護をしよう。そんな介護を著者は「ながら」介護と呼ぶ。(1)人生は長い。他にいろいろなことをしながら家族を看(み)よう(2)仕事を続ける。その覚悟をアピールしよう(3)決して隠さない(4)介護は情報戦と知る、等々。著者が提唱する「ながら」介護の原則は、わたしのように既に介護を終えたものにも身にしみる。あの時、本書が傍らにあったなら、と。

 「ながら」介護は同時に、企業や地域社会、何よりも国そのものに対する市民からの要求であり、権利の行使とも重なる。介護する者の道を閉ざすな、共にサポートするシステムを確立しよう、と。「ながら」介護と「トモニ」介護は、従って両輪のテーマだ。シングルの介護。子どもの貧困率の高さが問題になっているが、経済的に恵まれない家庭の介護、夫が妻を介護する場合等。それぞれの悩みや不安、未決事項と正面から向き合って、著者は具体的にアドバイスし、困った時の「駆け込み先」等も丁寧に紹介。きわめて使い勝手もいい。

 通常国会が始まった。わたしたちの税金は「いのち」にこそつかわれるべきだ。国会の中にいるあの人々にも、直(じか)にこの本を手渡したい。

(潮新書・820円)

<ひぐち・けいこ> 1932年生まれ。評論家。著書『大介護時代を生きる』など。

◆もう1冊 

 結城康博・村田くみ著『介護破産』(KADOKAWA)。介護とお金の実態や、介護生活を持続可能にする方策。

 

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