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【書評】

公文書問題 日本の「闇」の核心 瀬畑源 著

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◆情報公開 逃れる手管

[評者]沼田良=政治学者

 公務員は行政が国民のために行われ、自分や妻・親友たちのために行われていないことを不断に証明する必要がある。証明の有効な手段が公文書だ。公文書の扱いがデタラメならば、それだけで行政の裏の対象を自ら露呈することになる。

 森友・加計学園のほか、自衛隊PKOの日報、集団的自衛権の閣議決定、豊洲移転問題などで、公文書をめぐる役所のずさんな体質が表面化している。これだけ並ぶと、この国は病んでいて、しかも相当に重症だと思わざるをえない。本書は、こうした公文書管理の在り方と情報公開について解説し、「闇」の本質に迫ろうとした好著である。

 権力の源泉が情報にあることは知られている。情報公開を無効にする方法は二つある。一つは「行政文書」を作らず、もし作っても廃棄(したと強弁)することだ。もう一つは目ぼしい文書を非開示の秘密扱いに指定することだ。この点で本書の指摘は実に的確である。

 だが、評者には別の理由も気になる。それは日本官僚制の奥義である稟議(りんぎ)システムの存在だ。公正な文書を公正に管理していると誤認しやすい仕組みである。この伝統的な執務慣行が、公文書管理→情報公開→説明責任という民主政治の健全なサイクルを深奥部で阻害する元凶ではないのか。「闇」はさらに深い。次はこの問題にも光りを当ててほしい。

(集英社新書・799円)

<せばた・はじめ> 1976年生まれ。長野県短大准教授。著書『公文書をつかう』。

◆もう1冊

 杉本裕明著『社会を変えた情報公開』(花伝社)。政務活動費問題など情報公開制度を使って暴いてきた成果を紹介。

 

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