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【書評】

私の少女マンガ講義 萩尾望都 著

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◆生命が輝きだす瞬間

[評者]小林深雪=児童文学作家

 萩尾望都先生の漫画を読むと、いつも天地がひっくり返るほどびっくりする。そして、その作品の余韻は、不思議な重みを持って胸の奥に深く深く沈む。こんな刺激的な体験は、めったにできない。

 著者の漫画を読んだことのない方、少女漫画に興味がない方。今、この書評をスルーしようとしたあなた。ちょっと待ってください! 四十六ページを開いて、八ページだけ読んでください。そうしたら、この本のすべてと萩尾漫画を読まずには、いられなくなるはず。

 そこには、野田秀樹さんも舞台化したあの傑作短編「半神」の全十六ページが再録され、どのように、この漫画を紡ぎ出したのか、その創作作法がページごとに語られているのです。すごい!

 漫画の中の主人公たちは、常に瞬間のコマの中にいます。その停止画の連続がみずみずしく動き、輝き出し、わたしたちの前に生命を持って現れる。その秘密を、あなたは知りたくないですか? 

 一九六九年のデビューから常に漫画のフィールドを広げてきた萩尾先生が、イタリアで行った講義を完全収録。その鋭い洞察力と漫画への深く優しい眼差(まなざ)しで「リボンの騎士」から「大奥」まで、少女漫画史を紐(ひも)解いてくれます。また、原発事故をテーマにした「なのはな」や新作「春の夢」など自作を語るインタビューも。全漫画関係者と漫画好きは必読!

 (新潮社・1620円)

<はぎお・もと> 1949年生まれ。漫画家。著作『ポーの一族』『11人いる!』など。

◆もう1冊 

 福田里香著『まんがキッチン おかわり』(太田出版)。「ポーの一族」など名作漫画から生まれたお菓子とエッセー。 

 

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