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【書評】

鳥! 驚異の知能 ジェニファー・アッカーマン 著

写真

◆心理学、数学自在に?

[評者]堀内洋助=写真家

 鳥を撮影していると、鳥の知能が高いことに驚かされる。渡り鳥は何千キロも正確に旅をする。くちばしで器用に精密な巣をつくる。複雑なさえずりで求愛し、コミュニケーションをする。不思議な鳥の行動を本書は解明してくれる。

 著者は世界中のフィールドを訪れ、鳥類学者などに取材して鳥の知能を学んだ。恐竜の子孫である鳥は一億年以上前に登場し、今も繁栄する自然の最大の成功例だ。地球上ほぼどこでも見かける野性動物は鳥で、磁場を感じ取って方位を知るという。鳥の脳の研究に人生を捧(ささ)げてきた学者の研究報告には魅了される。

 世界には道具をつくり、心を読み、確率を理解する鳥もいる。なぜ賢くなったのか。その理由には二つの仮説があると著者は言う。「採餌にかかわる生態学的な問題によって脳が肥大化して認知能力が上がった」こと。もう一つは「社会圧によって柔軟で知的な心の進化がうながされた」というものだ。難解な問いを、様々な実験データと研究者の報告で分かりやすく解説しているのがいい。

 五月十日から十六日までは愛鳥週間。鳥は子育てに大忙しだ。フィールドを歩くと美しいさえずりが聞こえ、餌を運ぶ親鳥は懸命な姿で飛び交う。一年で一番探鳥に良い季節がやってくる。鳥の驚きの能力を紹介した本書は、フィールドで鳥と出会うのを楽しくさせる一冊だ。

 (鍛原多惠子訳、講談社ブルーバックス・1404円)

<Jennifer Ackerman> 1980年、イェール大卒業。サイエンスライター。

◆もう1冊 

 細川博昭著『身近な鳥のすごい事典』(イースト新書Q)。スズメ、メジロなど三十五種の生存戦略などを解説。

 

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