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【書評】

都心集中の真実 東京23区町丁別人口から見える問題 三浦展 著

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◆未婚女性とスタバの深い関係

[評者]泉麻人(コラムニスト)

 池袋あたりで乗ったバスの車中で外国人の数の多さを痛感したり、多摩センターの駅前でふらりと入った喫茶店で客層が高齢者ばかりになったことに気づかされたりすることがある。この本はそういった、いまどきの東京の感じを「国勢調査」レベルのデータを使って、数値で実証してみせたものだ。

 たとえば<主な国籍の外国人の23区別人口>なんて統計表が載っている。フィリピン人の一位は足立区。インド人の一位は江戸川区。「竹ノ塚の駅前にはフィリピンパブが目につく」とか「葛西周辺にはインド料理の店が多い」とかのことは、僕も散歩エッセーでよく書く話だが、その人口を数字できちんと提示されると説得力がある。

 この本では、女性とくに未婚女性を都市生活者の一つの指標と見て、勤務地や居住地の傾向が細かく調査されているが、ただ行政の資料を拠(よ)り所にしているだけではない。<スターバックスがある地域は未婚女性比率が高い地域と似ている>なんて仮説を立てて、東京西南部と都心一等地に集中した未婚女性比率の高い地域をスタバの店舗分布と比較しているあたりシャレている。同じ章に載った<女性の就業者が男性並みに多い地域と、公家華族が住んだ地域は重なる>というマニアックな視点の図も興味をそそる。

 女性の住居や勤務先をしつこくフィールドワークで調査するには道徳的な支障も生じてこようが、こうやって数字をもとに分析するなら問題はないだろう。著者の丹念な調査仕事は“合法的ストーカー”と評してもいい。

 数々の図表は都市学セミナーや不動産業者にも重宝されるのだろうが、合間に挟みこまれた町並写真がホッと心を和ませる。とくに僕のような古地図好きの読者は、六本木のアークヒルズ開発以前の界隈(かいわい)の住宅地図(一九六七年)ばかりルーペで拡大して何度も眺めている。この辺は永井荷風の偏奇館(へんきかん)のあった地の崖下だから、散歩愛好家でもある著者の何らかの意図が含まれているのかもしれない。

 (ちくま新書・799円)

 1958年生まれ。社会デザイン研究者。著書『下流社会』『第四の消費』など。

◆もう1冊 

池田利道著『23区大逆転』(NHK出版新書)。『23区格差』の続編。

 

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