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【千葉】

浦安伝統 べか舟この目で 元舟大工と「弟子」3人 1年かけ完成

べか舟を造った宇田川さん(左)と大橋さん=浦安市郷土博物館で

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 浦安市伝統の1人乗り木造船「べか舟(ぶね)」を、元舟大工と3人の「弟子」が1年かけて造った。大きさは長さ約5メートル、幅約1メートル。木板を曲げるなどして流線形の船体に仕上げた。印旛産のスギの木目が美しく、装飾用の銅板を先端部などにあしらった。高度な職人技が光る舟を多くの人に見てほしいと、市郷土博物館は玄関入り口で展示を始めた。 (服部利崇)

 べか舟は、浦安をはじめ東京湾全域で使われていた。貝やノリの採取用で、形はササの葉に似る。浦安ではノリ養殖が本格化した一九〇〇年前後から、広く使われ出したという。浦安が舞台の山本周五郎の小説「青べか物語」は、主人公が青色の「べか舟」を買わされる話で始まる。

 最盛期には境川などに千数百隻が係留されていた。七一年の漁業権全面放棄後、姿を徐々に消していった。博物館が開館した二〇〇一年以降、元舟大工の集まり「浦安舟大工技術保存会」が展示・記録用に造ったこともあったが、最近は修繕のみ。会長の宇田川彰さん(77)=猫実=は「新造は十年ぶり」と話す。

 宇田川さんは十五〜二十三歳の間、兄の造船所を手伝い約五十隻を造った。ここ数年は博物館で漁船の模型作りを教えていたが、上達した「弟子」たちから「本物を造ってみたい」と頼まれ、挑戦した。

 板と板の接合面がより密着するように、のこぎりの引き方などで工夫する「すり合わせ」など舟造りには高度な技能がいる。トンカチで「舟釘(ふなくぎ)」を打つときも割れないよう力を加減するなど道具の使い方も独特だ。春から材料選びや作業準備に取りかかり、道具の使い方を一通り学んだ後、昨年十月から造り始めた。

 印旛産のスギを主材として使った。宇田川さんが作業の手本を示し、三人の弟子がまねながら舟の形に仕上げていった。弟子の一人大橋八洲男(やすお)さん(75)=東京都豊島区=は「職人は何でも十年(の経験)は必要とされるが、一年足らずでやった。始めから終わりまで苦労の連続だった」と振り返った。

 「図面もなく、記憶を頼りに造った」という宇田川さんは「イメージ通りに仕上がった。いい出来栄えで感激している。本物のべか舟がどんなものか、目で確かめてもらいたい」と来場を呼びかけている。

 先月末には、館内で進水式も行われた。展示は五月八日まで。主任学芸員の島村嘉一さん(49)は「活用場所は未定だが、乗船体験も検討している」と話している。

 

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