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【千葉】

<知事選 争点の現場から> (1)保育士確保

来年50周年を迎える「しらゆり保育園」でお絵かきをする子どもたち=船橋市北本町で

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 東武野田線の塚田駅近くにある船橋市の民間保育所「しらゆり保育園」は、来年で五十周年を迎える。当初は農家の子どもを預かっていたが、周囲の畑がマンションに変わり、電車で通う会社員が利用するようになった。

 園長を長年勤める伊藤愛子さん(85)には最近、気掛かりなことがある。待機児童の解消のため保育施設の受け入れ枠が急激に増える中、保育士を確保するために自治体が給与の上乗せ合戦をしていることだ。

 園ではベテラン保育士らに支えられ、保育士は不足していない。これまで短大に出す求人票や、研修生が来たときに声をかけることで、人材を確保してきた。退職者への毎年の年賀状に「働きたくなったら一報を」と添えている。

 公立と民間の給与の格差を是正するため、船橋市が民間施設に給与の上乗せ分を補助する制度(月額約三万二千円、期末手当約七万円)を活用する。「すごく助かっている。でも保育士は生きるために働いているので、一円でも多くの給与がほしいのは当たり前」。給与面でほかの施設と不公平が出ないように考える日々が続く。

 市川市も月額五万四千円を補助する。だが、隣接する東京都江戸川区が二〇一七年度から一万円を補助し、都の上乗せ分を合わせると同額になる。国からの地域手当は都内の方が一割ほど多く、「年に二十万円ほどの差がある」(市の担当者)という。

 ほかに浦安市が月額三万二千五百円、賞与四万円を、松戸市は月額六千五百〜七万七千円を補助。一七年度からは、同様の制度を成田市(年七万二千〜二十五万二千円)と流山市(月平均八千円)が始める。

 千葉市は上乗せしておらず、近隣の市と格差が生じている。一九年四月までに新たに五百人の保育士確保を目指しているが、昨年は市立保育所で働く予定だった約百人のうち半数が内定を辞退。船橋市や市川市に流出した。

 千葉市の担当者は「臨時に非常勤職員を雇用するなど、人員配置に大きく影響した。今後も懸念材料ではある」と漏らす。

 給与上乗せで自治体ごとにばらつきがある現状に、市川市の大久保博市長は「(東京などに)保育士の流出が危ぐされる」と、国や県に見直しを要望する考え。船橋市の松戸徹市長は「保育士の人材確保に、県が雇用の計画や方向性を出してほしい」と望む。

 独自の給与上乗せについて、県は現時点では慎重な姿勢だ。「東京に対して千葉が負けない部分はどこにあるのか、考えたい」(県子育て支援課の担当者)と、保育士希望者への修学資金の貸し付けや潜在保育士の掘り起こしなど、当面は給与面以外の施策に力を入れるとしている。

  (村上豊、柚木まり)

   ◇   ◇

 四人が立候補した知事選は二十六日に投開票される。新知事が向き合うことになる県政の課題を五回に分けて紹介する。

 

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