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【千葉】

<ひとキラリ>テーマ 演技で語る 成田国際高・中村恵さん

卒業公演で「繭の中」を演じる中村恵さん=成田市で

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 「目標は『語る演技』。演劇に出合えて本当に良かった」。県立成田国際高校(成田市)演劇部で三年間、ほぼ部員一人で活動を続け、二年連続で関東大会出場を果たした中村恵さん(18)。二十五日の卒業公演では、初めて関東大会に出場した際の一人芝居などを見事に演じきった。春からは多摩美術大学(東京)で演劇を学び、舞台女優を目指す。 (渡辺陽太郎)

 中学校では文芸部。高校入学時は同級生の演劇部員が二人いたが、夏までに退部し、中村さんだけになった。二〇一四年度の県高校演劇研究中央発表会は、創作一人芝居「繭の中」で挑み、初心者ながら関東大会に出場した。

 顧問の伊三野(いさの)友章教諭(54)は「中村は教えたことを完璧にこなす。すごい才能だと思った」と振り返る。一方で、自分の演技が出せない面もあり、才能を認めつつ、ほめずに厳しく接してきた。

 中村さんも「先生の指示以上の演技ができない」と自らの弱点に気付いていた。演劇部は原発や戦争の記憶など、社会問題がテーマの作品を発表している。中村さんも戦災者の取材をするなど、テーマを理解し伝える努力を続けた。

 一五年度の県大会と関東大会は、軽音楽同好会の同級生の協力で、二人芝居に挑戦。会話のテンポや間の取り方に苦労したが、相手をよく見て、気持ちまで考えることを覚えた。

 その後、演技が変わり始めた。昨年三月の公演では初めて、自分らしい演技ができたという。伊三野さんも「いいじゃないか」と初めてほめた。中村さんには、ずっと演劇がしたいという思いが生まれた。芝居を見せるのではなく、観客に伝えたいテーマを「語る演技」が目標という。

 二十五日、成田市内で開いた卒業公演では「繭の中」を熱演した。主人公はいじめなどが原因で八年間引きこもり続け、東日本大震災による津波で部屋ごと流された少年。少年は「津波より人が怖かった。死んでもいいと思った。でも津波の中で生きようとした」と語る内容だ。

 演じ始めた当初は「私なら逃げる。少年の気持ちが理解できない」と悩んでいた中村さん。だがこの日は、迫真の演技で少年の気持ちを表現し、観客を引き込んだ。伊三野さんは「いい女優になれる」と成長をたたえた。中村さんは「語る演技のスタートラインに立てた」と笑顔で話した。

 

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