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【千葉】

<へぇ〜 再発見ちば> 幽霊や妖怪の絵公開 法林寺(柏市)

土小学校と土中学校で同級生だった藪崎恒雄さん(左)と戸部謹爾さん=柏市で

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 十五年ほど前から毎年、お盆の時期に幽霊や妖怪の絵を市民に公開している寺がある。柏市名戸ケ谷の法林寺。境内には樹齢約四百年の市指定文化財「法林寺の大銀杏(いちょう)」がそびえるように立ち、本堂では、地元の篤志家から寄贈された作品が、訪れた人々を異界へと誘う。

 これらの絵は、江戸−昭和期に描かれ、合わせて百点を超える。江戸時代の絵師の円山応挙(一七三三〜九五年)、歌川国芳(一七九七〜一八六一年)が絵筆を執ったとされる作品や、責め絵で有名な伊藤晴雨(一八八二〜一九六一年)の掛け軸などが含まれる。

 いずれも、住職の戸部謹爾さん(75)の土小学校、土中学校時代の同級生で、近所に住む藪崎恒雄さん(75)が収集した作品。藪崎さんの先祖は名戸ケ谷地区の代々の名主。藪崎さんは自身が集めたり、伝えられてきた史料や美術品を、自宅に設けた「弥惣治文庫」で保管している篤志家だ。

 戸部さんは「寺に気軽に足を運んでもらい、関心を持つきっかけになれば」と、住職を兼任する生家の観音寺(柏市逆井)の本堂でクラシックコンサートなどを企画してきた。

 藪崎さんが収集品を戸部さんに託し、寄贈したのは「地域のために活用してくれるのでは」との思いからだった。幽霊や妖怪の絵には、法林寺の新名物としての期待がかけられ、今では恒例の納涼行事となった。

 「現在は、総代会で手掛けてくれる絵の飾り付けなど準備作業は当初、小中学校の同窓生で進めた」。戸部さんは藪崎さんら旧友たちの支えが、展示企画を定着させたと考えている。

 藪崎さんは、展示を始めた最初の夏に起きた不思議な出来事を振り返る。「展示会場の本堂の掛け時計の分針が、秒針のようにぐるぐる回り出した。居合わせたみなでおはらいを受け、それ以降は二度と起きていないんだけど」

市内一の巨樹といわれる法林寺の大銀杏=柏市で

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 教訓的なテーマを盛り込んだ作品も。十二単(ひとえ)の女性が死亡して白骨化、朽ち果てて土に帰るまでを九つの場面で描いた「九相詩絵図」は「仏教絵画」。戸部さんは「無常感など仏教の初歩的な考え方を示し、修行僧の教育に用いられることもある」と話す。

 藪崎さんは、伊藤晴雨が描いたとされる女の幽霊の絵を気に入っている。鮮烈な色づかいや生々しい迫力の画風で知られる伊藤だが、この絵でうつむき加減に描かれた女性には、怪奇性やおどろおどろしさが感じられない。「野田に住んでいる画家の夫妻が『いい絵ですねえ』と感嘆していたことが印象に残っている」

 今年の法林寺の幽霊妖怪展は十五日まで開催中。午前九時〜午後五時。入場無料。 (堀場達)

<法林寺> 真言宗豊山派の寺院で、江戸時代初期の慶安3(1650)年に創建された。境内の大銀杏は樹齢約400年、樹高約30メートルで、根元回りは14メートル超。市内で最大の樹木といわれる。最寄りの東武野田線新柏駅から東へ1・3キロ。

 

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