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【千葉】

原発訴訟ドキュメント 「国への忖度判決」 「慰謝料認めた」評価も

福島第一原発事故避難者の集団訴訟で国への賠償請求が退けられ、千葉地裁前で垂れ幕を掲げる原告側弁護士=千葉市中央区で

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 「前橋地裁より後退した判決だ」「こんな判決、到底納得できない」−。二十二日、東京電力福島第一原発事故で福島県から千葉県などに避難した十八世帯四十五人が、国と東電に約二十八億円の損害賠償を求めた訴訟の判決。原告側弁護士が「国の責任を否定」などと書かれた垂れ幕を掲げると、地裁前に駆け付けた人たちからは、ため息と判決を疑問視する声が漏れた。 (山口登史、美細津仁志)

 10時 空は厚い雲に覆われ、じめじめした陽気。地裁前に傍聴者たちが列を作り始める。傍聴券の配布場所を案内していた市民団体「千葉県原発訴訟の原告と家族を支援する会」の古小高(こおたか)弘則共同代表(73)は「東電と国の責任を認め、ふるさと喪失慰謝料を認めてもらいたい」と力を込めた。

 10時40分 予定時間より十分前倒しで整理券の配布が始まる。地裁の敷地外まで列ができる。

 11時20分 傍聴受け付け締め切り。五十九席の傍聴席に対し、二百十三人が白いリストバンド式の整理券を受け取る。

 11時半すぎ 抽選結果が判明。四倍近い倍率の中、当選した千葉市中央区の笠原哲夫さん(70)は「まだ国は痛みを感じていない。政府は一人一人に寄り添うと言いながら、原発訴訟では被災者に寄り添っていない」と切り捨てた。

 12時 地裁前で集会が始まる。十五団体の関係者が「国と東電の責任を明確にし、全額の損害賠償を支払う判決が出ると信じている」などと決意表明。勝利を確信するムードに包まれた。

 13時15分 遠藤行雄原告団代表(84)や弁護士ら約五十人が「国と東電は事故の責任を取れ」と記された横断幕を手に地裁前を行進。

 14時5分 原告側の弁護士二人が、地裁正門で「国の責任を否定」「東電の損害賠償を一部認める」と書いた垂れ幕を掲げる。福島県内の原発訴訟の原告の一人、高橋政勝さん(68)は「とんでもない判決で、怒り心頭だ」と話した。

 14時半 隣接する県弁護士会館で判決集会が始まる。参加者から「怒りを持って受け止めた」「国への忖度(そんたく)判決だ」「ふるさと喪失の慰謝料が認められたのは評価できるし、前進だ」などの声が上がる。原告・弁護団は「国も東電も被害者に対して償うに足りる十分な損害賠償を行って、全面的な解決を図るべきだ」とする声明を発表。

 16時半 原告・弁護団が記者会見。「原発被害者訴訟原告団全国連絡会」の森松明希子共同代表(43)は「判決が国の責任を否定したことは理解しがたく、不当な判断を受け入れることはできないが、東電が負う責任の内容について前進したものと評価する。前橋地裁の判決より後退した部分についてもう一度押し返す取り組みを粘り強く続けていく」と声明を読み上げた。

 

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