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【千葉】

空き家「シェアアトリエ」に 松戸の不動産業者奮闘

外壁や屋根などを修繕した「せんぱく工舎」=松戸市で

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 人が住まなくなった空き家をリノベーションして、クリエーターたちにアトリエや作業場として活用してもらう「シェアアトリエ」を広めようと、松戸市の気鋭の不動産業者が頑張っている。「クリエーターたちが来れば、人が集まってくる。人が集まれば、にぎやかで楽しい街になる」と、シャッター通りが増えた地元の活性化も見据える。市内で増える空き家の対策に頭を痛める市も、民間業者の取り組みに注目している。 (林容史)

 シェアアトリエを仕掛けるのは「omusubi(おむすび)不動産」を営む殿塚(とのづか)建吾さん(33)。これまで松戸、市川両市で計五棟を手掛けた実績がある。

 七月、JR武蔵野線新八柱駅から歩いて約十五分の「せんぱく工舎」の入居が始まった。一九六〇年に建築されたインテリアメーカーの社宅を借り受け、県内や首都圏のクリエーターらにサブリース(また貸し)する。屋根や外壁、ライフラインといった基礎部分は所有者が修繕し、内部は入居者自らDIYで修理、装飾する。

 これにより、クリエーターがアトリエを構える際に最大のネックとなる家賃を低く抑えることができるという。貸主にとっても、使い道がなかった空き家を有効に活用でき、家賃収入が保証されるメリットがある。

 木造二階建て、全十八部屋のせんぱく工舎には、これまで五組が入居し、一組が入居を予定、四組が検討中という。

 設計事務所を開設するさいたま市の一級建築士井沢雄祐さん(36)は「事務所を探している時、松戸で面白いことをやってる不動産屋さんがあることを知って」入居を申し込んだ。週に三、四日は改修に訪れるといい、工具を手に「家賃も条件に合うし、タイムスリップしたような建物もいい」と笑った。

 日本画制作のためアトリエを探している市原市の町田藻映子(もえこ)さん(28)は「市原でアトリエは見つからない。マンションで一人で描くより、周りから刺激が受けられそう」と好感触のようだった。

 殿塚さんは「不動産屋として余っている空き家を、より良く使いたい。うちは洋服で言えば古着屋。一点物にこそ価値がある」と力を込める。

 今後は、塗装や床張りなどDIYを学ぶワークショップを実施するほか、交流を広げるため市場などのイベントを開く計画だ。

     ◇

 二〇一五年度の松戸市の空き家実態調査によると、市内には一年以上、誰も住んでいない一戸建て住宅やアパートなどは千六百十六軒あるとみられ、うち百四十一軒は放置された「特定空き家」だった。

 市は一六年度、空き家対策推進条例を施行、特定空き家を指定し、改善を勧告するなど対策に乗りだしている。空き家活用モデル事業を指定し、事業者たちに補助金を交付する方針だ。

 市住宅政策課の小林清課長は「市だけで全ての空き家に対応するのは不可能。五年、十年と事業を続けていくには、実績ある民間業者の協力が不可欠だ」と話している。

 

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