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【千葉】

新盆用の灯籠「房州切子」 館山・中村さん 手作りの伝統を後世へ

のみで紙をくりぬく中村俊一さん=館山市那古で

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 南房総地域で新盆を迎える家で飾られる灯籠「房州切子」。機械生産が進むが、手作りにこだわる職人は行貝(なめがい)実さん(92)=館山市国分=のたった一人。伝統を後世に残そうと、新たな担い手として、中村俊一さん(42)=同市那古=が立ち上がった。行貝さんから一から技術を学び、今年から独り立ちを果たした。 (山口登史)

 房州切子は、切り絵のようにくりぬかれた紙を貼った立方体の木枠を造花などで彩った灯籠。南房総市と館山市を中心に、新盆を迎えた家が八月十三〜十五日に、自宅の仏壇前に盆棚を作って飾り、墓参りにも持参する。お盆を過ぎると寺などで燃やして供養される。

 行貝さんの房州切子は部品から手作りし、木を切ったり、紙をくりぬいたり一年を通じて作業を進める。行貝さんによると、かつては各地で多くの職人が彩りや持ちやすさなど技術の腕を競ったが、後継者不足などで減少。埼玉県内などで機械生産も進む中、手作りにこだわる職人は一九九〇年代ごろから行貝さん一人になっていた。

 中村さんは館山市出身。実家の雑貨店では仏具も扱い、房州切子は身近な存在だった。多摩美術大を卒業後は都内で映像製作の仕事に就いていたが、子育てのために二〇一三年に帰郷した。

 仕事を父に相談すると、行貝さんに後継者がいないことを知った。「手先は器用な方」という中村さんは弟子入りを志願。体調に不安を抱える行貝さんから「迷惑はかけられない」と何度も断られたが、一四年に「一生懸命だし、熱意もある」と認めてもらった。

 二年をかけて、紙をくりぬくのみの使い方、貼り付け方、飾りの花の作り方まで手取り足取りで技術を教えられた。今夏に出荷した約二百個からは中村さん一人で手掛けた。

 行貝さんは中村さんについて「初めての弟子だが、一生懸命に仕事をするし、良い品を作ってくれる」と太鼓判を押す。中村さんは「行貝さんのような伝統文化の担い手として頑張っていきたい」と意気込んでいる。

 

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