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【千葉】

変わる「夢の懸け橋」東京湾アクアライン20年(上) 「800円効果」にぎわう木更津

開通・開業20周年を迎える東京湾アクアラインと海ほたるパーキングエリア=東京湾で、本社ヘリ「あさづる」から

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 横浜、川崎、品川…。今月上旬、東京湾アクアライン木更津金田インターチェンジ近くの大型商業施設「三井アウトレットパーク木更津」の駐車場には、平日にもかかわらず、県外のナンバーの車が多く見られた。

 「東京湾の対岸まで片道八百円と安くて、近く感じる。何度でも来たくなった」。家族三人と横浜市から車で訪れた会社員稲葉優也さん(25)はそう語る。

 この大型商業施設は二〇一二年にオープン。現在は二十一万五千平方メートルの敷地に約二百五十店舗が入り、首都圏随一の規模を誇る。土日祝日には駐車場に入るため一時間以上待つことも珍しくなく、周辺で渋滞が発生するほど、活況を呈している。

 「漁師と農家が点々と暮らす町がこれほどになるなんて思ってもいなかった。『八百円』のおかげだ」。大型商業施設の近くに住む鎗田(やりた)賢司さん(75)=木更津市金田東=は、にぎわう街の姿に笑顔を見せる。

 鎗田さんはアクアライン開通に伴う木更津市金田地区の区画整理事業に携わった「金田東特定土地区画整理審議会」の元会長。一九九七年十二月の開通当初は、通行料が四千円(普通車)だったことから利用台数が伸び悩み、「住民や企業が増えるのかといった不安の声が多かった」と振り返る。

 潮目が大きく変わったのは二〇〇九年八月。アクアラインの自動料金収受システム(ETC)搭載の普通車の料金が八百円に値下げされ、通行台数は急速に増えていった。

 NEXCO東日本によると、アクアラインの一日当たりの通行台数は、八百円に値下げ前の〇八年度は二万七百七十二台だったが、〇九年度は二万九千三百二台に急増。その後も増え続け、一六年度は四万五千五百八十五台に達した。

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 木更津市の人口もうなぎ上りで、〇七年の十二万三千六百三十七人から一七年には十三万五千四百六十一人となり、十年間で一万人以上増えた。近隣自治体では学校の統廃合が進む中、木更津市内では一四年、三十三年ぶりの新設小学校となる真舟小が開校した。

 だが、アクアラインによる「恩恵」には、地域差が生まれている。館山市の人口は〇七年は四万九千九百五十六人だったが、一七年には四万六千四百七十一人に減少。市は減少傾向は今後も続くと予想し、小中学校の統廃合も検討している。市の担当者は「八百円への値下げで観光面では一定の効果があるが、企業立地や人口増加には結び付かない」と明かす。

 アクアラインを通る高速バスを利用して他県からの観光客も増えているが、館山市や鴨川市など安房地域の一六年の宿泊者数は百八十一万九千人で、一九九七年に比べて四割減った。

 南房総市で旅館を営む男性(76)は「地元住民にとっても移動は便利になったが、宿泊客は少なくなった。長く滞在してもらう努力が必要なのはわかっているが…」と肩を落とした。 (山口登史)

    ◇

 木更津市と川崎市を橋と海底トンネルで結ぶ「東京湾アクアライン」が一九九七年十二月に開通してから十八日で二十年。「夢の懸け橋」と呼ばれ、一兆四千四百億円もの巨額予算をつぎ込んだ大事業の現状と今後の行方を紹介する。

 

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