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【千葉】

変わる「夢の懸け橋」東京湾アクアライン20年(中) 進化する「足」 高速バス好調

東京方面に向かう高速バスに乗り込む乗客たち=木更津市で

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 「昔は七十分の船旅が、今では十分もあればたどり着けるんだよ」。栗原龍視(たつみ)さん(76)=南房総市=は、一九九七年十二月の東京湾アクアライン開通に伴って廃止されたフェリー(木更津−川崎)の元船長。時代とともに海を渡る交通手段が変わったことを、実感している。

 日本カーフェリーがこの航路でフェリーの運航を始めたのは一九六五年。高度経済成長の流れに乗り、東京湾沿岸で急速に工業化が進むとともに自動車が普及。東京湾を迂回(うかい)するルートは慢性的な渋滞に悩まされる中、代替交通手段としての役割を期待されたのがフェリーだった。

 九七年十二月十八日で終わっている栗原さんの船員手帳の最後のページには「社命による解雇」と記されている。定年退職まで残り一年だった。

 アクアライン開通から二十年。開通翌日から運行が始まった高速バスは、順調に運行台数を伸ばしている。当初は一日当たり五十往復で運行していたが、十月一日時点では十倍近い四百九十四往復(二十七路線)に拡大した。

 出発地は木更津市だけでなく、館山市、鴨川市などにも増え、東京駅や新宿駅、横浜駅などへの路線が結ばれている。二〇年の東京五輪・パラリンピックを控え、日東交通の担当者は「全国、世界から乗客を迎えられるよう頑張りたい」と語った。

 木更津と羽田空港を直結する鉄道「アクアレール」を作れないだろうか−。こうした構想を二〇〇五年から温め続ける人がいる。「東京湾アクアライン並行鉄道建設研究会」と題したインターネットのホームページを運営する大森祐一さん(46)=東京都葛飾区=だ。

 構想では、東京湾アクアライン木更津金田インターチェンジ付近に地上駅「仮称・金田駅」を作り、羽田空港まで新たなトンネルで結ぶ計画(全長約一八・四キロ)だ。

 全長は東京湾アクアライン(一五・一キロ)より長いが、大森さんは首都高中央環状品川線のトンネル部分約八キロの掘削で、落札価格が四百五十億円(税抜き)だったことを挙げ、全長約二倍のトンネル掘削費は約一千億円で賄えると考える。

 この構想に対し、〇八年ごろから地元の県議、市議から注目を集めるようになった。ある木更津市議は「東京湾を横断する鉄道ができれば、住宅も増え、過疎化を食い止められる上、アクアラインの渋滞解消にもつながるはずだ」と賛同し、市議会の一般質問でも何度か取り上げた。

 「建設にどれだけの費用がかかるのか。夢物語だ」といった批判的な声は多い。だが、「神奈川県小田原市を東京への通勤圏とすれば、アクアレールでつながれば、鋸南町が新たな東京への通勤圏となる。地価も安く、地域活性化へ可能性は計り知れない」と、大森さんの夢が広がる。 (山口登史)

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