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【千葉】

<2017回顧 取材メモから>松戸の女児殺害事件 子どもの安全どう守る

登校する児童たちを見守る地元住民のボランティア=松戸市六実で

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 十二月八日、女児は十歳の誕生日を迎えるはずだった。「幸せな生活だったのに、どうして殺されないといけなかったのか」。記者とのメールのやりとりで、女児の父親レェ・アイン・ハオさん(35)は、今も癒えない、まな娘を失った悲しみを吐露した。

 三月二十六日朝、ベトナム国籍で松戸市立小学三年のレェ・ティ・ニャット・リンさん=当時(9つ)=が、我孫子市北新田の排水路脇の橋の下で、遺体で見つかった。

 その二日前、小学校の修了式に出るため自宅を出たリンさんを車で連れ去り、その後に殺害したとして、不動産賃貸業、渋谷恭正(やすまさ)被告(46)が、殺人罪などで五月二十六日に起訴された。渋谷被告はリンさんが通う小学校の保護者会長を務め、通学路の見守りもしていた。

 渋谷被告は、捜査段階での約四十日間の取り調べで黙秘を続けた。裁判員裁判を控え、争点や証拠を絞る公判前整理手続きが十一月二十八日に始まり、現在も続いている。

 父親のハオさんは「早く裁判を行ってほしい」と願う。動画投稿サイト「ユーチューブ」では、生前の女児の写真や動画を公開し、渋谷被告の極刑を求める署名を呼び掛けている。

 日ごろ、子どもの見守り活動をしていた保護者会長が逮捕、起訴された今回の事件は、子どもの安全をどう守るかという重い課題を大人たちに突きつけた。

 女児の通った小学校がある松戸市六実二丁目の住民らは、事件後から登校時の見守りを続けている。

 見守りボランティアの一人の牧野敬信さん(78)は、仕事がない日は毎朝、通学路に立つ。「お母さんたちが心配しているから。立っているだけでも、防犯になる」

 週一回、学校前に立つ別の男性は、事件直後、見守り中に住民の冷たい視線を感じたと明かす。事件前、渋谷被告も同じ活動に参加していたためで「子どもたちを見守りたいだけなのに、全く、どうしようもない」と怒りをあらわにする。

 地元住民らは六月、松戸市の後押しを受けて「六実っ子安全安心見守り隊」を結成。十一月には小学校の近くにある県立鎌ケ谷西高校(鎌ケ谷市)の生徒二十二人も加わり、現在、三十七団体、千三百人以上が登録している。

 先日、「寒いのに毎朝、ありがとう」などと児童たちが書いた手紙付きのクリスマスプレゼントが、ボランティアの大人たちに贈られたという。

 女児が通った小学校の校門前で毎日、児童たちを迎える伊東隆志校長は「事件は子どもたちの心に影響している。今はニコニコ、登校してくれさえすればいい」と願っている。 (黒籔香織、林容史、中山岳)

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 取材メモを基に、今年の出来事を記者が振り返ります。

 

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