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【千葉】

<2017回顧 取材メモから>原発避難者訴訟の地裁判決 国の法的責任認めず怒り

国の責任を否定した千葉地裁判決後、垂れ幕を掲げる原告側弁護士ら=9月22日、地裁前で

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 東京電力福島第一原発事故で、福島県から千葉県などに避難を余儀なくされた十八世帯四十五人が、国と東電に計約二十八億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、千葉地裁(阪本勝裁判長)は九月二十二日、国への賠償請求を退け、東電だけに一部賠償を命じた。

 同様の訴訟は三月の前橋地裁判決を皮切りに、千葉地裁、福島地裁で判決があった。前橋、福島両地裁判決は国と東電の責任を認めたが、千葉地裁判決だけが国の法的責任を認めず、司法判断が分かれた。

 四年半に及ぶ千葉訴訟を闘ってきた原告団代表の遠藤行雄さん(84)は「国策によりつくられた原発で事故が起きたのに、国が責任を問われないのはおかしい」と、失望をあらわにする。

 千葉地裁判決は「国は大津波を予測できたが、対策を講じても事故を回避できなかった可能性がある」と判断し、国の法的責任を否定した。一方で、同種の訴訟では初めて、故郷の自然豊かな生活や人間関係を丸ごと奪われた「ふるさと喪失」に対する慰謝料を事実上認め、東電に対し、従来の賠償基準を上回る計約三億七千五百万円の賠償を命じた。

 判決後、原告側が県弁護士会館で開いた集会では、国の責任を認めなかったことに「忖度(そんたく)判決だ」などと怒りの声が上がった。原告弁護団長の福武公子弁護士は「ふるさと喪失慰謝料の考えを認めたのは良かったが、金額には不満だ」と述べた。

 原発事故の避難者による損害賠償請求訴訟は、全国で約三十件が係争中。全国で最初の判決となった前橋地裁は三月十七日、「国は規制権限に基づき、東電に津波対策を取らせるべきだった。対策させなかったのは違法だ」として、国と東電の責任を認めた。十月十日の福島地裁判決も国と東電の責任を認めた。

 来年三月には東京地裁、福島地裁いわき支部、京都地裁で、判決が予定されている。千葉訴訟の原告の弁護団事務局長の滝沢信弁護士は「控訴審で国の責任を認めてもらい、前橋地裁と福島地裁の判決に沿う流れに戻したい」と話す。

 千葉訴訟の十三世帯三十二人は、千葉地裁判決を不服として東京高裁に控訴。東電も控訴した。控訴審の審理は来年には始まるとみられる。原告団代表の遠藤さんは年々、足腰の衰えを感じているが、闘い続ける覚悟だ。「慰謝料を一部もらって良かったとは、ならない。一瞬にして老後の安住の地を失ったことへの責任を、問いたい」と話している。 

  (中山岳)

 

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