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【千葉】

<家族のカタチ>(5)船橋の同性カップル 誰もが好きな人と幸せに

NPOの運営について話し合う伊藤悟さん(左)と、パートナーの簗瀬竜太さん=船橋市で

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 「異性を愛する人と同じように、同性愛者も好きな人と幸せになることを、ただ求めているんです」

 昨年十二月初旬、千葉市の千葉大学であった性的少数者の生きやすい社会を考えるシンポジウム。パートナーの男性と暮らす伊藤悟さん(64)=船橋市=は聴衆にそう呼び掛けた。

 伊藤さんは、同性愛者の相談や交流の場をつくるNPO「すこたんソーシャルサービス」の代表。パートナーはNPOの共同運営者の簗瀬竜太さん(55)だ。

 二人には、病院や家探しなどで、異性カップルなら当たり前にできることが認められなかった体験がある。

 五年ほど前、簗瀬さんが尿管結石を患い、救急車で船橋市内の病院に搬送された。付き添った伊藤さんは、簗瀬さんが運び込まれた診察室に入ろうとすると、病院側から「親族以外は入れない」と断られた。伊藤さんは廊下で待ち続けたが、診断結果の説明も受けられなかった。

 簗瀬さんは「今後、お互いが重い病気になった際、どうなるか、不安になった」と振り返る。

 二人で引っ越し先を探していた時、気に入った物件の大家から「男の二人暮らしはだめ」と、つれなく拒否されたこともあった。

 一部の自治体では、同性カップルが家探しや病院の面会などで夫婦と同等に扱われるよう、結婚に相当する「パートナーシップ証明」を認める動きが、広がりつつある。

 東京都渋谷区で二〇一五年三月、同性カップルにパートナーシップ証明書を発行する条例が、全国で初めて成立。東京都世田谷区、札幌市なども同様の制度を導入。千葉市は一七年一月から、同性パートナーがいる市職員に、法律婚の職員と同じ結婚休暇や介護休暇を認めている。

 だが、同性パートナーは法律上、配偶者とみなされず、配偶者控除など税金の優遇を受けられない。死亡した場合、相手のパートナーは相続人になれず、遺言の効力も限定的でしかないという現実がある。

 LGBTの法律相談や支援に取り組む南川(なんかわ)麻由子弁護士は「異性カップルが結婚すれば、意識しなくとも税金や相続などで幅広く特典を受ける。同性カップルという理由で家族として扱われず、結婚制度から除外されるのは不平等だ」と指摘する。

 伊藤さんたちのNPOにも、相続や介護などの相談が増えている。簗瀬さんは「伝統的な『家族』のイメージが強すぎれば、そのつながりからはじかれた人は、孤独になる。ゲイに限らず、いろいろな人が楽に生きられる社会になれば」と願っている。 (中山岳)

     ◇

 NPO「すこたんソーシャルサービス」は、ゲイの人たちが年代別に語り合うなどする会費制のイベントを定期的に開催している。問い合わせは同NPOのEメール=info@sukotan.com=へ。

<LGBT> 同性愛のレズビアン(L)とゲイ(G)、両性愛のバイセクシュアル(B)、生まれつきの体の性とは異なる性を生きるトランスジェンダー(T)の頭文字を取った総称。自分の性が男女どちらか言い切れないなど、LGBTの枠でくくれない人もいる。

 博報堂DYグループのLGBT総合研究所が2016年5月に10万人に行ったインターネット調査によると、回答した約8万9000人のうち、LGBTを含めた性的少数者の割合は約8%。

 

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