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【千葉】

庶民が愛した俗曲 伝えたい 親子の三味線奏者 演奏会続け

千葉での演奏会を控え、稽古をする千藤幸花さん(左)と幸穣さん=千葉市中央区で

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 江戸末期から戦前にかけて東京周辺で、庶民が酒宴の座興などで歌った俗曲(ぞっきょく)。芸者らの間で歌い継がれてきたが、最近では耳にする機会は少なくなった。「俗曲は音階も間も日本人にしっくりくる。唯一無二の音楽を伝えたい」。千葉市の三味線奏者の親子は二〇一四年から、俗曲の演奏会を続けている。 (黒籔香織)

 「諸説ありますが、遊郭の女性たちが処遇に不満を抱いてストライキを起こした情勢を歌った曲です」。昨年十二月、千葉市内のホテルで開かれた異業種交流団体「ちば里山会」の会合。千藤幸花(ちふじこうか)さん(70)と長女の千藤幸穣(こうじょう)さん(41)は、三味線を演奏しながら「ストライキ節」などの俗曲を披露した。

 俗曲は社会情勢や庶民の思いを歌詞にしたものが多く、一曲三分足らずと短い。酒を飲みながら庶民が手拍子で歌い、芸人が落語と落語の合間に披露し、芸者が御座敷で三味線を弾きながら歌うなど、幅広く親しまれた。ラジオで流れたり、芸者が歌ったレコードが普及した時期もあるが、民謡ブームなどで徐々に聞かれなくなったという。

 二人は、ライブ感を大事にし、演奏会では観客から「七・七・七・五」の歌詞をもらって即興で奏でる「都々逸(どどいつ)」(俗曲の一つ)をよく披露する。幸穣さんは「歌詞の江戸弁の発音がメロディーよりも優先される。そのときの気分で歌い方や演奏を変えられ、ジャジー」と評する。

 一四年に「御座敷倶楽部」を立ち上げ、千葉や東京都内の日本料理店やホテルなどで年に数回、三味線による俗曲の弾き語りを続けてきた。「歌には聞いて育った歌い方、好み、人柄、色気が出る。下手なりに自分たちが『良いな』と思う世界を表現したいと思った」と幸花さんは話す。

 二人は、千葉と東京で開く教室「千藤三味線学院」で、三味線の技術を誰でも分かるように伝えることにも力を注ぐ。

 「盗む芸ではなく弾ける理論」。幸花さんの夫で、二人の師匠である故・千藤幸蔵さん=享年(74)=が考案した、良い演奏のための奏法や楽器の扱い方などの理論に基づいて教え、筆記や技術試験を通じ、技術の向上を後押ししている。

 学長を務める幸穣さんは「三味線という素晴らしい楽器を、限られた時間で堅苦しくなく教えるための門戸を広げたい」と話す。幸花さんは「御座敷倶楽部」の活動を「ライフワークとして、これから二、三十年は頑張るつもり」と意気込む。「場所にこだわらず、演奏させていただく機会があれば参りたい」

◆千葉市で18日 演奏会

 次回の演奏会は18日午後6時から、千葉市中央区の三井ガーデンホテル千葉。演奏と食事代で1万6000円。残り2席。申し込みは16日までで、担当者=電090(3900)5303。教室は千藤三味線学院=電043(264)5074=へ。

◆2人が披露している俗曲の歌詞

<ストライキ節>

♪自由廃業で廓(くるわ)は出たが

ソレカラ何としょ

行場がないので屑(くず)ひろい

ウカレメノストライキ

サリトハツライネ

テナコトオッシャイマシタカネ

<ハイカラ節>

♪チャラチャラチャラと喋(しゃべ)るのは

判事か検事か 弁護士か

裏店住居の井戸端か

但(ただ)しは芸者か幇間(ほうかん)か

彼方(あっち)へ行っちゃチャラチャラ

此方(こっち)へ行っちゃチャラチャラ

彼方此方(あちこち)ベンチャラ言う間(ま)に

ソーレしくじった

※いずれも一部抜粋

 

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