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【千葉】

<家族のカタチ>(12)夫婦で結成、楽団の絆 仲間と重ねる慰問演奏

ユーカリアンサンブルの仲間と練習に励む迫田精一さん(左から2人目)、妙子さん(同3人目)=白井市で

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 白井市に住む迫田精一さん(88)と妻の妙子(みょうこ)さん(72)は、定年退職後に妙子さんがクラリネットを習い始めたことをきっかけに二〇〇九年、楽団「ユーカリアンサンブル」を結成し、高齢者施設での慰問を続けている。家族は夫婦二人だが、大好きな音楽を通じて知り合った仲間と絆を深め、演奏活動を楽しむ。

 迫田夫妻は、ともに元教員。東京都内の小学校で同僚だった。妙子さんが六十歳で都庁の嘱託職員を辞め、一線を退いた後、白井市の高齢者専用マンションに移り住んだ。妙子さんは、市内の中学生の演奏会でクラリネットのソロを披露した女生徒の姿に魅了され「自分も吹けるようになりたい」と演奏方法を学んだ。

 精一さんは、出身地の熊本県天草で覚えたアコーディオンをはじめ、楽器演奏を長年、得意にしてきた。「自由に使える時間を、二人の好きな活動をして過ごしたい」。〇八年十二月のクリスマスイブ、人前での初演奏にこぎつけた。自宅マンションのロビーで精一さんがアコーディオンを、妙子さんがクラリネットを奏でた。

 「自分たちだけでなく、ほかの人にも楽しんでもらえれば」。だが、つてはない。二人は通院治療を受ける病院のデイケア施設への訪問演奏を思い立った。「恐る恐る電話をかけて申し込んだのですが、受け入れてもらった。演奏したらアンコールの大合唱。演奏がやめられなくなった」と妙子さんは笑う。

 活動の幅を広げようと、二人は市の広報紙やインターネットを介して、仲間を募った。市内外からさまざまな楽器を手に男女が集い、ユーカリアンサンブルが誕生した。「オーストラリアが好きで、旅行で何度か訪れた」。精一さんは、オーストラリア原産のユーカリにちなんだ楽団名の由来を明かす。

 現在のメンバーは、迫田夫妻を含めて七人。最年少の大学生井関彩香さん(21)=浦安市=は、音楽療法に関心があり、中学生時代から親しんできたフルートを携えて演奏に駆けつける。「年上の方々と一緒の活動は初めてで楽しい。演奏を聴いたお年寄りの笑顔に接し、音楽療法の道に進みたいとの気持ちを強くした」と意欲的だ。

 バイオリンの林美菁さん(41)=印西市=は、十二歳と六歳の二児の母。出身地の台湾で父親を介護するため、一時休んでいた楽団活動を再開した。「私も介護で疲れたとき、音楽で癒やされた。人のために役立っている充実感がある」という。

 関明矩(あきのり)さん(72)=白井市=は昨夏、メンバーに加わった。会社員時代に遠ざかっていたギター演奏に定年退職後、再び取り組んだ。演奏会を見学し、加入を即決した。「聴いている方も演奏している方も、心底楽しんでいたことが、加入の決め手になった」

 楽団のメンバーは、音楽好きという点を除けば、年齢も経歴も異なる。体調の事情で、精一さんは担当楽器をアコーディオンからキーボードに代えた。妙子さんは「家庭的な雰囲気で練習も本番も和気あいあい。知り合えたことに、不思議な縁を感じる」と話している。 (堀場達)

 

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