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【千葉】

<ひとキラリ>文学座研究所で新たな挑戦へ 県立松戸高・篠宮聖さん合格

文学座研究所に合格し、「演劇界へのスタートラインに立てた」と話す篠宮聖さん=松戸市で

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 授業の選択科目に演劇を取り入れるなど、演劇教育に力を入れている県立松戸高校(松戸市)の3年篠宮聖(ひじり)さん(18)が、国内を代表する劇団「文学座」の研究所の試験に合格した。「自分が一番輝ける役をやりたい」。女優という夢に向かって、この春、新たな挑戦が始まる。 (林容史)

 千葉市美浜区の自宅から電車とバスを乗り継ぎ、一時間半かけて毎日、通学した。高校の三年間は、まさに「演劇漬けだった」という。

 中学の剣道部で元気な声をほめられ、「声の仕事がしたい」と声優の養成所に通った。そこで「声優がやりたければ、演技もできないと」とアドバイスされ、演劇が盛んな松戸高への進学を決めた。

 苦い思い出がある。高校二年、主役で臨んだ最後の関東大会(関東高校演劇研究大会)。部員の半数がインフルエンザで倒れ、最悪のコンディションで舞台に立ち、全国大会出場を逃した。落ち込む中、劇を見た人たちから「これまでで一番、良かったよ」と声を掛けられ心底、救われた。「今度は私が思いを届けたい。みんなを救え、嫌なことが忘れられるような演技ができる女優になりたい」と思いを新たにした。

 今年一月、作文と身体表現の一次試験をパス、続く二次試験で歌やせりふ回し、面接などをこなし、十日の合格発表を迎えた。合格者の一番上に自分の受験番号があるのを見て「信じられなくて五回、見直した」。

 同校演劇科講師の見上裕昭さん(62)は「演劇界の東大。受かるだけでも難しい。受かっても演劇界でやっていくのは難しい。しかしスタートラインに立てれば、巡ってきたチャンスをつかんで大抜てきもある」とエールを送る。

 「普段、感情を表に出すタイプではないが、ひとたび役に入り込むと、光る。芝居の醍醐味(だいごみ)を体現している」と教え子を評する。

 中学の時、アイドルグループ「モーニング娘。」のメンバーたちが出演した舞台を見た。天真らんまんだと思っていたアイドルが、役に合わせて表現を変えていくのを見て「同年代の女の子が、こんな表情をするんだ」と驚いた。「演技で自分をがらりと変えたい」と力を込める。

 名目上は研究生として本科で一年、研修科で二年学んで、準座員に昇格する。しかし、ひとたびレースが始まれば、容赦なくふるい落とされる厳しい大人の世界が待ち受ける。

 それでも不安は感じないという。「これまでは大会や公演、テストに向けて演じてきた。これからは一から演劇が学べる。楽しみ」と澄んだ目で未来を見つめている。

 

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