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【千葉】

松戸女児殺害 遺体発見1年 遺棄現場で父「寂しくて心が痛い」

レェ・ティ・ニャット・リンさんの遺体が見つかった現場で焼香する父親のレェ・アイン・ハオさん=我孫子市北新田で

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 「同じような事件が起きないよう願っている」。松戸市の小学三年生だったベトナム国籍のレェ・ティ・ニャット・リンさん=当時(9つ)=が殺害され、遺体で見つかってから二十六日で一年。父親のレェ・アイン・ハオさん(35)は同日午前、遺体発見現場近くで焼香し、取材に応じた。殺人罪などで起訴された渋谷恭正(やすまさ)被告(46)の裁判員裁判の初公判は、六月四日に千葉地裁で開かれる。ハオさんは法廷で事件の全容が明らかになることへの期待を語った。 (黒籔香織)

 リンさんの遺体が見つかった我孫子市北新田の排水路脇。ハオさんはピンク色のガーベラの花束を献花した。「自分の娘ではないとずっと願っていて信じられなかった」と事件当時を振り返る。リンさんにかける言葉を尋ねられると「裁判で(犯人が)必ず処罰されるようにするから安心してほしい」と話した。昨年九月にハオさんが設けたほこらには、ニッコリと笑うリンさんの写真とともに、大好きだったメロンパンや果物が供えられていた。

 「寂しくて心が痛い。一年たって状況は何も変わっていない。裁判も始まらない。待っているしかない」と明かすハオさん。

 公園で家族連れを見ると思い出がよみがえる。「手をつないでもう一度散歩したい。簡単なこともできない」。長男(4つ)は、自宅の祭壇に「リンちゃんの分」と食事を供える。なぜ学校から帰って来ないの? 尋ねられても、ハオさんは答えられずにいる。

 昨年五月の渋谷被告の起訴後、ハオさんは、リンさんが自宅で歌う動画や、東京タワーを訪れた写真など百本以上を動画投稿サイト「ユーチューブ」に上げ、厳罰を求める署名活動をインターネット上で始めた。

 今年一月下旬から約一カ月間は東京・上野や千葉県内の駅前に立ち、協力を呼びかけた。「署名しても意味がないよ」と言われても、駅前に立ち続けた。「一番はリンちゃんのため。何かしないと頭がおかしくなってしまいそうだった」

 被告側から謝罪はない。ハオさんは被害者参加制度を利用して法廷で意見陳述するつもりだ。「どうしてこんな残酷なことをリンちゃんにしたか聞きたい」

◆伊藤市教育長「子どもたちの安全を見守る」

 松戸市の伊藤純一教育長は「私たちにできるのは子どもたちの安全を見守ること。安定して教育活動が続けられるよう頑張りたい」と話した。リンさんが通った小学校の伊東隆志校長は「二十三日の修了式でご冥福を祈り黙とうした。安全、安心に配慮しながら子ども中心の教育活動に取り組みたい」とコメントした。

 市教育委員会によると、リンさんの担任の呼び掛けで、父親のハオさんが今月十五日、小学校を訪れた。リンさんの同級生たちから歌を贈られ「ありがとう」と感謝していたという。 (林容史)

◆黙秘の被告 法廷で何語る

 渋谷被告はリンさんが通う小学校の当時の保護者会長で、子どもたちの見守り役の一人だった。捜査関係者によると、捜査段階で被告は雑談にもほとんど応じず、供述を拒み、黙秘を続けた。法廷で被告が何を語るかに注目が集まる。

 起訴状によると、昨年三月二十四日にリンさんを殺害し、遺棄したとされる。死因は窒息死だった。県警は被告の供述が得られない中、遺体の遺留物のDNA型が被告のものと一致したDNA型鑑定結果や、拘束に使ったとされる手錠を押収するなどし、客観証拠を集めてきた。ある捜査関係者は「物証はある」と自信を見せる。

 昨年十一月二十八日に始まりこれまでに四回開かれた、証拠や争点を整理する公判前整理手続き(非公開)には、被告は毎回参加。手続き終了後、代理人弁護士に数回、取材を申し込んだが、応じてもらえなかった。記者は被告に接見を申し込んだが、取材の機会は得られなかった。

 地元の防犯活動を通じて被告と面識がある白石弥登美さん(78)は「二度とあってはいけない事件。裁判でありのままを話してもらいたい」と話している。

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