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【千葉】

<ひとキラリ>「北海道」名付け親に光 探検家・松浦武四郎 絵本で紹介

松浦武四郎を紹介した絵本や原画を手にする関屋さん=大網白里市の自宅アトリエで

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 今年は「蝦夷地」が「北海道」と命名されてから百五十年目。関連イベントで盛り上がる北海道で注目を集める人が大網白里市にいる。絵本作家、関屋敏隆さん(73)。北海道の名付け親と呼ばれ、幕末から明治に活躍した探検家松浦武四郎(まつうらたけしろう)(一八一八〜八八年)を紹介する絵本を四年前に出版。「アイヌ民族と共に生きた旅人を未来に伝えたい」との思いを込めた。その絵本の原画展が、釧路市の博物館で開かれている。 (美細津仁志)

 「武四郎は知名度が低く、いくつかの出版社に企画書を何度持ち込んでもけんもほろろ」。大網白里市の自宅のアトリエで関屋さんは苦笑いを浮かべ、絵本出版までの苦労を振り返る。

 松浦武四郎は伊勢国(三重県松阪市)に生まれ、幕末に蝦夷地を六回探検。アイヌの暮らしや自然、地形などをスケッチを交えて克明に記録した。明治政府の役人になると、北海道のもとになった「北加伊道」など六案を政府に提案した。

 旅好きの関屋さんは、知床の自然や探検家・間宮林蔵など北海道に関する絵本を十冊ほど制作してきた。二〇〇六年ごろ、シーカヤックで知床半島を周回した際、武四郎の旅の苦労に思いをはせ、北海道シリーズの集大成として制作を決心。参考資料を集めては道内ゆかりの地を巡り、一二年には北方領土のビザなし訪問団で国後、択捉島に渡るなど徹底して足跡を追った。

 完成間近の一三年、人間ドックで白血病が見つかった。抗がん剤で体重はみるみる減ったが、気力だけで一四年六月、絵本「北加伊道 松浦武四郎のエゾ地探検」(ポプラ社)の出版にこぎ着けたという。

 絵本では、武四郎が案内役のアイヌの男たちと寝食を共に旅をし、松前藩の役人の悪政に苦しむアイヌに心を痛める様子を描いた。

 原画は六月三日まで釧路市立博物館で二十六点を展示。その後、北海道博物館(札幌市)での武四郎の特別展でも公開される予定だ。

 武四郎が政府に提案した「北加伊道」の「カイ」はアイヌ語で「この国に生まれた者」の意味。道内には「釧路」などアイヌから聞き取った地名が今も各地に残る。関屋さんは「北海道でも武四郎の名前は知っていても、功績を知らない人が多い。絵本の原画展で武四郎の精神を知る一助になれば」と話している。

<せきや・としたか> 1944年、岡山県津山市生まれ。京都市立美術大(現在、市立芸術大)で染織を学び、北海道や探検物の絵本を多数執筆。北海道の馬の品種・ドサンコで日本を縦断する「馬のゴン太旅日記」(小学館)や、冬の知床を描いた「オホーツクの海に生きる 彦市じいさんの話」(ポプラ社)などで知られる。

 

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