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【千葉】

小湊鉄道の絵本が結んだ縁 かこさとしさん悼む声、市原でも

「絵本で描いてくれたかこさんには感謝をしてもし尽くせない」と話す石川晋平社長=市原市の小湊鉄道本社で

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 今月二日、九十二歳で亡くなった絵本作家で児童文化研究家の加古里子(かこさとし)さんを悼む声が市原市で上がっている。かこさんが二〇一六年に九十歳で出版した絵本「出発進行! 里山トロッコ列車」(偕成社)の舞台となった小湊鉄道(本社・市原市)の石川晋平社長(45)は「感謝をしても、し尽くせない」と話している。 (美細津仁志)

 同社は一五年十一月、沿線の里山の景色を楽しんでもらおうと、観光用トロッコ列車の運行を始めた。このパンフレットの挿絵を、石川社長は娘への絵本の読み聞かせで身近に感じてきた、かこさんに手紙で依頼した。

 「面識のない大御所へのずうずうしいお願い」(石川社長)だったが、二日後に直筆の返信が届いた。かこさんは手紙で、自然豊かな里山の案内役としてトロッコを走らせる同社の計画を「健康的」と高く評価。高齢のため新たな仕事はすべて断っている、としつつも「イラスト四、五枚ならお手伝いできる」と快諾したという。

 後日、かこさんがトロッコのイラストを描いていたところ、出版社の担当者の目に留まり、急きょ絵本化が決定。かこさんは写真や資料などを基にイラストを大幅に加筆した。わずか一年ほどで一冊の絵本になるとは「夢にも思わなかった」と石川社長は驚嘆する。

 かこさんは自叙伝的作品「未来のだるまちゃんへ」(文芸春秋)で「子どもの力を伸ばすには、小さな自然が必要」と述べており、石川社長は「身近な里山に重きを置く我々も考え方は同じ。これからも絵本の原画を展示し、かこさんの絵やメッセージを後世に伝えていきたい」と話す。

 絵本は図鑑のような構成で、沿線の四季の風景や多彩な動植物などが収められた。歴史に関する観光スポットや「チバニアン」の根拠となった、地磁気が逆転する田淵地区の地層も紹介している。

 同市の小出譲治市長は「優しく温かな画風は、全ての人の心を和ませる特別な力を持っている。この絵本は市原市の大切な宝物です」とコメントした。

◆追悼原画展を開催 来月、千葉市で

 かこさんの訃報を受け、小湊鉄道は「出発進行! 里山トロッコ列車」の原画三十六点を展示する追悼特別展「かこさとしさん、喜びをありがとう!」を六月一〜二十八日、JR稲毛駅東口前の「こみなと稲毛ギャラリー」(千葉市稲毛区)で開く。

 開館時間は午前十時〜午後六時。入場無料。期間中無休。

 問い合わせは、こみなと稲毛ギャラリー=電043(252)4713=へ。

 

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