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【千葉】

<成田開港40年>(上)静穏か地域振興か 機能強化で崩れる「約束」

日々、航空機が離着陸する成田空港=成田市で

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 「スライド運用は環境保全措置などでなく、人の睡眠を侵す。われわれを何だと思っているのか」。成田空港の機能強化に向けて、成田市で五日に開かれた環境影響評価手続きの説明会で、市民から怒りの声が上がった。

 機能強化は三本目のC滑走路建設や運用時間延長などの内容で、国と県、周辺市町、成田国際空港会社(NAA)が三月に合意した。その後、地元では「一日も早い実現を」と推進を求める動きが目立っていたが、騒音悪化への不満や不安がなお解消されていない現実がある。

 成田空港で航空機が離着陸しない時間は原則七時間だが、C滑走路完成後には空港全体では四時間半に短縮される。ただ、NAAなどは滑走路ごとに運用時間をずらす「スライド運用」で七時間の静穏を確保すると説明。また、A滑走路では、二〇二〇年までに六時間に短縮される。

 機能強化を巡る一連の協議では、運用時間について「重い約束」という言葉が何度も出た。開港前の一九七一(昭和四十六)年一月、当時の友納武人知事が夜間七時間の「運航停止の厳守」を求め、橋本登美三郎運輸相が「運航ダイヤを認めない」と回答。この約束は長く守られてきた。

 だが、二〇一〇年の羽田空港再国際化で、大手航空会社の成田離れが目立つようになった。そこでNAAは格安航空会社(LCC)に活路を見いだし、一三年には午後十一時台の離着陸制限を緩和する「弾力的運用」を導入した。

 機材の効率良い稼働が不可欠なLCCへの配慮にほかならない。それでも、騒音負担が降り掛かる地元では「なし崩しの運用拡大は認めない」と念押しして受け入れた。あれから五年。空港の運用時間が拡大される見通しとなったことで、騒音地区では「舌の根も乾かぬうちに…」との厳しい受け止めもあった。

 今回の機能強化は、訪日客を経済成長につなげる政府の方針に沿って進められた。特に滑走路の新設は、小手先の対処で限界だった大幅な容量拡大を実現し、空港としての地位を高める意味がある。地元の自治体関係者は「地域の発展のため、受け入れない選択肢はなかった」と話す。

 当然、LCCのためばかりでない。大手ではドバイなどの中東路線で、乗り継ぎの利便性が高まる深夜便の開設に前向きとされる。日本貨物航空の担当者は「まだ決まったことは何もない」と前置きしつつ、「国内でその日作られた製品を集荷し、輸送する貨物の特性から深夜の需要はある」と説明する。

 だが、機能強化のメリットを享受しようとする動きで真っ先に表面化したのはLCCを巡るものだった。 

      ◇ 

 成田空港は二十日、開港から四十年を迎える。羽田空港や韓国や中国、シンガポールなどのアジアの空港との競争が激しさを増す中、機能強化に向けて動き始めた成田のこれからを展望する。 (小沢伸介)

 

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