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【千葉】

ICUでの判断 より早く的確に 柏の病院と企業「遠隔集中治療支援」

専門医と現場の医師らが共有する患者の生体情報を示しながら、支援の仕組みを説明する中西智之さん(右)と浜畑幸弘さん=柏市で

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 柏市若柴の辻仲病院柏の葉は、医療ベンチャー企業と連携し、集中治療室(ICU)を使う際に、院外の専門医から助言や指導を受ける「遠隔集中治療支援」を、六月から導入する。重症患者を対象とする集中治療で、現場の医師が早く、的確な判断を下しやすくなるという。 (堀場達)

 支援事業を進めるのは、専門医による遠隔集中治療支援の普及を図る医療ベンチャーのT−ICU(兵庫県芦屋市)。日本集中治療医学会に認定された専門医の中西智之社長(42)が、二〇一六年に設立した。

 「米国では集中治療の専門医がICU管理をすることで、死亡率や合併症、在院日数が減少したなどの論文が発表されている一方、日本では大規模病院を除けば、専門医が常時勤務している施設は少ない」と中西さん。国内の医師免許取得者約三十二万人のうち、集中治療の専門医は、今年四月時点で、千六百七十一人にすぎないと指摘する。

 ICUでは、急性呼吸不全などを発症した重症患者を治療するため、どのような処置をいつとるか、判断の難しい場合が多いとされる。例えば、人工呼吸器を外せば、患者の合併症リスクは小さくなるが、呼吸困難のリスクは大きくなり、着脱のタイミングや、鎮痛剤の投与量・組み合わせなど、医師が処置の優先順で迷うことがあるという。

 こうしたケースに対応するため、支援事業では、同社の専門医が、契約先の医療機関と、心電図、エックス線、採血データなどの患者の生体情報を共有。専門医はパソコンを介して二十四時間体制で、生体情報を遠隔監視し、ビデオ会議システムなどを用いて、現場の医師に治療方針を提案する。

 大腸肛門病と消化器疾患の治療を柱とする同病院の浜畑幸弘院長(61)は「特化した治療に当たっているため、集中治療など手薄な面をカバーしようと導入した。今後もさまざまな取り組みを試す」と話す。

 中西さんは「遠隔集中治療を普及させ、重症患者診療の質を高めたい」と事業の目的を明かす。関西地方を中心とした専門医十五人が同社の支援事業に参加している。医療機関が事業契約を交わす場合、機器などの初期投資が約百万円、六床のICUで一月あたり約百万円の利用費がかかるとしている。

<集中治療室(ICU)> 呼吸、循環、代謝などで重篤な急性機能不全になった患者を24時間体制で管理し、より効果的な治療を施すための病室。患者は重篤な症状がおさまった時点で、各診療科の一般病棟に戻される。ICUを備えた医療機関は、国内で1189施設という。日本集中治療医学会に認定された専門医は1施設に平均1.4人が在籍していることになるが、中西さんらは「1施設に4人程度在籍していれば24時間体制のシフトが組めるといわれ、専門医は不足している」と指摘。専門医が不在でも、ICUの運用はできる。

 

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