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【千葉】

<子どもの命 守るために 6・4松戸女児殺害初公判> (上)動き始めた同級生の母親たち

登校する児童を見守るボランティア=松戸市六実で

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 「地域のボランティアに甘えていた部分があった。人任せの意識を変えないといけないと思った」

 松戸市の会社員小石琴恵さん(34)と主婦渡辺祐希さん(36)は、昨年三月に殺害されたベトナム国籍で松戸市立小学校三年のレェ・ティ・ニャット・リンさん=当時(9つ)と同じ学校の同級生の子を育てる母親だ。二人は事件後、知っている子に出会ったら積極的に声をかけたり、買い物途中などで地域の子どもたちを気にかけるようになった。

 小石さんは働いているため、子どもの送り迎えができない。「本当は毎日送り迎えをしたい。でも生活もあるし、子どもにもお金がかかるから」

 事件後、二人はリンさん家族と仲の良かった共通の知人を通じて、リンさんの家族と交流を始めた。「子を失う悲しみが想像以上だった。同じ気持ちは無理だから、少しでも寄り添えたら」(渡辺さん)との思いからだった。

 事件では、リンさんの通っていた小学校の保護者会長だった渋谷恭正(やすまさ)被告(47)が殺人罪などで起訴された。事件以来、保護者会長は不在の状態が続いている。

 二人は来年度の保護者会長と副会長に名乗り出ようと考えている。学校生活が子どもたちにとってより楽しく、安心できる場にするためにも、会長を置いた方が学校や地域とも関われると考えるからだ。一年かけて子どもたちのために動ける仲間を増やしたいと思っている。

 事件を機に、地域で子どもたちの登下校の見守り活動を始めた人たちもいる。

 「おはよう」「頑張ってね」。五月下旬、松戸市六実で緑色のベストを着たボランティアの女性(73)ら三人が、リンさんが通った小学校に登校する児童たちを見守っていた。

 「全員行ったね」。通った児童数を確認して解散した。事件前は誰も立っていなかった場所で見守り活動を始めてから一年以上。女性は「習慣になった。どこの子かも分かるようになった」と笑顔を見せた。

 松戸市は昨年六月に松戸市六実地区の住民を対象に「六実っ子安全安心見守り隊」を発足した。五月十七日現在で三十八団体、千三百四十人が加入する。市によると、発足以降の昨年六〜十二月の子どもや女性への声掛けやつきまとい件数は前年同期比十一減の四件だった。

 全国約五百の団体が加盟する「全国子ども見守りボランティア協議会」(金沢市)代表理事の平寿彦さん(71)は、児童八人が殺害されるなどした大阪教育大付属池田小学校事件(二〇〇一年六月)を受け、金沢市の小学校で見守り活動を始めた。「私も初めは一人だった。立ち上がって走れば必ず協力者が出てくる。そういう一人一人が地域を変えていく」と話している。

     ◇

 リンさんが殺害された事件で、殺人罪などに問われた元保護者会長渋谷恭正被告の裁判員裁判初公判が、四日午前十時から千葉地裁で開かれる。公判を前に、事件を教訓とし、子どもたちの安全を守るために何ができるかを考えた。 (黒籔香織)

<松戸の女児殺害事件> 松戸市立小学校3年だったベトナム国籍のレェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9歳)が2017年3月24日朝の登校中に行方不明となり、2日後に我孫子市で遺体が見つかった。県警は同4月14日、死体遺棄容疑で、リンさんの通学先の保護者会長渋谷恭正被告(47)を逮捕、その後、殺人などの疑いで再逮捕した。千葉地検は同5月26日、殺人やわいせつ目的略取誘拐、死体遺棄などの罪で起訴。裁判員裁判初公判は今月4日に開かれ、被告側は起訴内容を否認し、全面的に争う見通し。

 

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