東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 千葉 > 記事一覧 > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【千葉】

松戸女児殺害 初公判 「全面否認」に戸惑いの声

初公判を前に、リンさんの遺影を手に思いを話す父のレェ・アイン・ハオさん(左から2人目)=千葉市中央区で

写真

 地域で子どもの安全を見守る人たちに衝撃を与えた事件の裁判員裁判は、検察側と弁護側の全面対決の構図となった。ベトナム国籍の松戸市の小学三年レェ・ティ・ニャット・リンさん=当時(9つ)=が昨年三月に殺害された事件。逮捕後、黙秘を続けていた渋谷恭正(やすまさ)被告(47)は、四日の初公判で「全て違います」と述べ、全面無罪を主張した。公判を傍聴した人や地元・松戸で見守り活動をする人たちからは、戸惑いの声が上がった。(美細津仁志、山口登史、林容史)

 「検察側の主張したことは全て架空でねつ造」「私は事件に関わっていません」。渋谷被告は、初公判の罪状認否で、はっきりとした口調で主張した。

 千葉地裁で最も広い二〇一号法廷。渋谷被告は黒色のジャージーに迷彩柄の長ズボン姿で入廷した。検察側の冒頭陳述の間、身じろぎ一つせず無表情で、検察官を見据えた。

 証拠調べで、渋谷被告の軽乗用車の運転席や後部座席など、車内の八カ所から見つかった血痕の場所が、廷内の大型スクリーンに映し出されたり、リンさんの三年生の時の担任の「素直で向上心のある子。三年生で一番成長した」との供述調書が読み上げられたが、渋谷被告の表情は変わらなかった。

 被害者参加制度を利用して公判に参加したリンさんの父親レェ・アイン・ハオさん(35)は、検察官の後ろに着席し、通訳などを介して審理を聞き入った。

 時折メモを取りながら、終始、口を真一文字に結び、対面に座る渋谷被告をじっと見つめていた。

◆「どんな結果でも真実を明らかに」傍聴席

 リンさん一家と家族ぐるみの付き合いだった、松戸市の住宅リフォーム業渡辺広さん(46)も、この日の公判を傍聴した。

 渋谷被告については「これまで黙秘してきたのだから、全面否認は想定していた」と語った一方「ハオさんは何度も両手の拳を握り締めていた。気持ちを抑えていたのかなと思う」と思いやった。その上で「渋谷被告が、どんなことを話すのか。可能な限り傍聴に来たい」と話した。

 白井市から訪れた無職の男性(68)は「全面否認とは思わなかった」と驚いた様子。七歳の孫がいるといい「幼い子どもの命を突然奪われた悲しみは、あまりある。法廷の場で公正に判断してほしい」と話した。

 内装解体業の高野健一さん(47)=千葉市中央区=は「渋谷被告は、無表情で一点を見つめるばかりで、どこか上の空だったのではないか。どういう結果になろうとも、真実が明らかになってほしい」と語った。

 この日朝、千葉地裁前には六十二席の傍聴券を求め、四百人が抽選に並んだ。抽選に外れた人も、地裁職員に次回以降の公判日程を聞くなど、関心の高さがうかがえた。

◆再発防ぐために「やらなければ」地元の見守り隊

 子どもたちを守らなければ、と地域住民らが結成した「六実っ子安全安心見守り隊」に参加する地元の区長(67)は「知らんぷりなんて信じられない。認めるべきことは認めてほしい」と憤る。

 以前、被告と会合で同席したり、通学路を巡回したりした知人らは「言いようのないショックを受けている」という。

 リンさんの通った小学校の登校時間、児童たちを見守ってきた男性(79)は「町会が『やらなければ』という意志で続けている。二度とこんなことを起こさないよう、見守りがなくなってしまうことはない」と力を込めた。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報