東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 千葉 > 記事一覧 > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【千葉】

ジャーナリスト・杉村楚人冠の先進性紹介 我孫子の記念館で企画展

記事審査に関連し、読者や地方支局とやりとりした手紙類

写真

 明治後期〜昭和初期に活躍したジャーナリストの杉村楚人冠(そじんかん)(1872〜1945年)が導入し、現在の新聞社に継承されている運営の仕組みに焦点を当てた企画展「今に生きる楚人冠の新聞改革」が18日、我孫子市の杉村楚人冠記念館で始まる。楚人冠の先進性を分かりやすく紹介するねらいだ。 (堀場達)

 同館学芸員の高木大祐さん(40)によると、楚人冠が所属していた朝日新聞社などで、創設した部署や打ち出した新機軸は▽調査部と縮刷版▽社会事業▽新聞記者教育▽記事審査部と投書の活用−の四テーマに分けられる。これらはほかの新聞社に広まり、現在も多くの社が採用している。

 調査部の役割は、記事の分類や整理で、新聞を保存しやすいように、楚人冠は縮刷版を発案したという。現在は電子データの普及で目立たなくなっているが、記録を伝えていくためには、不可欠な存在だ。

 社会事業は、日露戦争の終結によりスクープ合戦ができなくなり、新たな読者獲得手段として提唱。楚人冠が着目したのは、旅行と探検だったという。

記事審査部門設立に向け、米国の新聞社に問い合わせた英文の手紙

写真

 楚人冠は新聞記者育成にも力を入れた。大学での講義録をまとめた名著「最近新聞紙学」の初版は一九一五年発行だが、企画展にはあえて七〇年発行の再版本を出品する。高木さんは理由をこう話す。「半世紀後も教科書として通用するほど、楚人冠に先進性があったことを強調したい」

 記事の正確性を検証するため、紙面審査の部署を国内の新聞社で初めて設けたのも楚人冠。米国ニューヨークの新聞社「ワールド」に、審査部門について問い合わせた一五年十二月の英文の手紙、読者からの苦情や地方支局とのやりとりなどをつづった手紙なども展示する。

 関連講座として二十一日午前十時から、市生涯学習センターアビスタで「赤穂浪士の討ち入りを大正時代の新聞が報じたら」を予定。大正時代に赤穂浪士の討ち入り事件が起き、これを新聞社が総力取材するという奇想天外な設定で、楚人冠が執筆した異色小説「本所から」の背景を、高木さんがひもとく。

 企画展は十月八日までで、問い合わせは記念館=電04(7182)8578=へ。講座は定員四十五人、市民図書館=電04(7184)1110=へ申し込む。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報