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【千葉】

<つなぐ 戦後73年>柏の元消防署分署建物 高射砲演習施設だった

屋上に起重機の支柱2本と、外壁にレール痕が残されている旧西部消防署根戸分署の建物=柏市で

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 柏市根戸で戦後、消防署分署として使われていた建物が、旧陸軍高射砲連隊特有の演習施設だったことが分かった。市教育委員会が調査報告書「空をつくる建物」にまとめた。市教委によると、同種の施設は7カ所で確認されているが、詳しい用途が判明するのは珍しいという。 (堀場達)

 建物は間口八メートル、奥行き十六メートル、高さ十メートル。高射砲第二連隊の高射砲訓練をするための「照空予習室及測遠器訓練所」だった。屋内では、映写幕に飛行機の画像を映し出して指揮訓練をしていたと推測。屋上に起重機の支柱を、外壁には昇降レールを取り付けた跡が残っており、この起重機で敵機の高度や距離を測定する「測遠器」をつり上げたとみている。

 報告書は、建物の機能や構造について、縮尺図面を交えて詳細に記述し、他の高射砲連隊の兵士などをとらえた貴重な写真も収録した。

高射砲連隊特有の演習施設についての調査報告書

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 建物は二〇〇九年に市西部消防署根戸分署としての役割を終えた。市が取り壊すことを決めたため、市教委が文化財に詳しい東京芸術大大学院の金出ミチル講師(現市文化財保護委員会委員)に依頼して、調査を進めていた。当初は建物の名称も用途も分からず、地元では軍馬の餌を置く「馬糧庫」として伝わっていた。

 調査では、同種の演習施設が戦前、第一〜八の各連隊の駐留地のうち六カ所と、現在の千葉市稲毛区にあった陸軍防空学校に建てられていたことを確認。現存するのは第二連隊が駐留した柏市と、第三連隊が駐留した兵庫県加古川市の二カ所のみだった。

 千葉市稲毛区の陸軍防空学校の演習施設は、一九七〇年代初めに解体された。この演習施設にも、写真などから屋外に起重機の痕跡を残していたことがうかがえたが、その用途は、今回の調査によって初めて突き止められたという。

 柏市は、柏の施設について取り壊し方針は変えていない。報告書は「高射砲連隊の建物について具体的に知ることのできる防衛省の資料も限られている中、特有の施設を空間として体験できる」として貴重性を指摘している。

 報告書はA4判、百六十ページ。三百部作成。市内の図書館などで閲覧できる。

 

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