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【千葉】

浦安市の液状化対策事業 当初計画からほど遠く

地盤改良用機械を使い、住宅境などで進む工事=浦安市で

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 東日本大震災で液状化被害を受けた浦安市は二十二日、地盤強化に向けて東野三丁目地区で進めている工事現場を報道陣に公開した。地中に「壁」を造り地震の揺れを抑えるための工事で、「住宅地では全国初の工法」(同市)を採用。液状化対策事業として現在、工事が行われているのはこの地区のみで、市が当初描いた計画は大幅に縮小された。 (保母哲)

◆住宅地で初の工法

 埋め立て地である浦安市は軟弱地盤のため、液状化を抑えるために採用されたのが「格子状地盤改良工法」。この工法では専用の地盤改良用機械を使い、セメント系の固化剤と土、水などを混ぜて「改良体」と呼ばれる円柱状の塊を作る。この改良体の大きさは、道路部分が直径一メートル、住宅部分が同一・五メートルで、高さはいずれも七・五メートル。道路部分には四百五十一本、住宅部分には四百六本を地中で造成し並べる。

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 市によると、これまで港湾や大型商業施設の建設時に採用された工法で、住宅地での実施は初めて。「住宅に住みながら工事ができ、地盤の強度は十倍ほど高くなる」としている。同所では住宅三十三戸を対象に二〇一六年十二月から工事を進めており、工事の進捗(しんちょく)率は現在約40%。完成は来年三月末の見込み。工事費は約十一億四千七百万円。

◆住民同意もネック

 東日本大震災で浦安市は市域の86%が液状化に見舞われ、建物九千百五十四棟に被害が認められた。このため市は、国の復興交付金を使った液状化対策事業として格子状地盤改良工法を採り入れることにし、当初は対象として十六地区の計四千百三戸を挙げた。

 しかし、一戸当たり百万〜四百万円ほどとされた自己負担額の大きさや住民同意などがネックとなり、事業化が決まったのは東野三丁目を含む三地区のみ。他の二地区は舞浜三丁目(三百九十三戸)と弁天二丁目(四十五戸)で、当初計画の一割にとどまった。

 三地区のうち一六年七月に着工した舞浜三丁目では、地中から過去に埋設された布製の排水材が大量に見つかったため、工事を中止。専門家を交えた委員会で新たな工法を打ち出したものの、住民意向確認調査などを受け今春、工事断念に追い込まれた。

 弁天二丁目では今年二月、十二戸の住民から「当時提出した(工事の)同意書は無効」などとする文書が、内田悦嗣市長宛てに提出された。このため本格的な工事に着手できない状態が続いている。

<東日本大震災での浦安市の被害> 市復興計画(2012年3月策定)によると、建物の被害認定数は全壊24棟、大規模半壊1560棟、半壊2185棟、一部損壊5385棟。公益施設223カ所中、被害は113カ所で、液状化被害はうち94カ所だった。避難所は小中学校などに最大時38カ所が開設され、6050人が避難した。本震や余震が長く揺れたため、地下水位より深い埋立砂層と沖積砂層が液状化したと考えられる−としている。

 

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