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【千葉】

「解体書」写本を初公開 神田外語大付属図書館 秘蔵品を紹介

オランダ語で書かれたポンペの解剖学講義録の写本「朋氏解体書」

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 神田外語大学付属図書館(千葉市美浜区)で開催中の秘蔵資料を公開する企画展「洋学貴重資料にみる絵と言葉〜江戸から明治へ」で、近代医学を初めて日本に伝えたオランダ人医師ポンペ(1829〜1908年)の解剖学の講義をオランダ語で書き写した「朋(ぽんぺ)氏解体書」が初公開されている。長崎から千葉、福井へと伝えられた写本で、展示を担当する同大日本研究所の松田清客員教授(洋学史)は「近代医学の知識や技術が地方に伝わる様子が分かる貴重な資料」と指摘する。 (美細津仁志)

 解体書は計五巻。最終巻には一八六三年、当時医学生だった越前(福井県)勝山藩の藩医秦朴仙(はたぼくせん)が全五巻を写したことを示すオランダ語の署名がある。

 「朋」は幕末、日本に滞在したポンペを指す。佐倉市にあった蘭学塾「佐倉順天堂」の二代目医師佐藤尚中(しょうちゅう)は一八六一〜六二年、留学先の長崎でポンペから医学を学んだ。順天堂で学んだ秦は、佐藤が写し取ったポンぺの講義録を書き写して福井に持ち帰った。解体書には勝山藩の藩校「成器堂」の蔵書印もあった。

 これまでポンペの講義は、順天堂大学(東京都文京区)が保存する越前鯖江藩の藩医土屋寛之による写本のみが伝わっていた。土屋と秦はいとこ同士で、順天堂で同時期に学んでいた。松田教授によると、当時、最先端の蘭学を教えていた大阪の適塾や順天堂の門人帳には、今の福井県出身者が多く名を連ね、福井は全国的にみても蘭学が盛んな土地柄だった。幕末ごろには最先端の医療が入っていたことが分かるという。

 今回の企画展では計三十九点を展示している。京都の古書コレクターが収集した幕末から明治期にかけての資料。同大が受け継いで設置した「神田佐野文庫」の一部で、一般公開はほぼ初めてという。

7枚の絵でナポレオンとの戦いを描いた「1815年ナポレオン戦役銅版図」(下)など(いずれも神田外語大提供)

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 一八一五年のワーテルローの戦いで敗れたフランスのナポレオンを「平和の破壊者」として描いた「ナポレオン戦役銅版図」や記念メダルは世界中に四点しか存在していない。江戸時代、ロシアに漂流した船頭大黒屋光太夫が一八〇〇年代初め、江戸で起きた福寿草ブームにあやかって記した「福寿」のキリル文字なども紹介している。

 十六日まで。開館時間は午前十時〜午後四時。十一日休館。十五日午後二時五十分から松田教授の講演会がある。入場無料。

 問い合わせは同大付属図書館=電043(273)1192=へ。

 

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