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大島町長選は三辻さん 島復興、新人に託す

大島町長選で当選確実となり、喜ぶ三辻利弘さん=26日午後10時43分、東京都大島町で

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 「みなさまの命と暮らしを守るため全力で頑張ることを新たに決意しました」

 一昨年の土石流災害後、初めて行われた東京都大島町の町長選は、三月まで町地域整備課長を務めた無所属新人の三辻(みつじ)利弘さん(59)=自民、公明推薦=が、無所属現職の川島理史(まさふみ)さん(62)=共産支持=の再選を阻み、人口約八千三百人の島の復興を託された。

 午後十時三十五分すぎ、当確情報が流れると、元町地区の町役場近くにある三辻さんの事務所は、支持者らの大きな拍手と歓声に包まれた。三辻さんは深々と一礼し「本当にありがとうございます。うれしいというより、責任の大きさをひしひしと感じています」と表情を引き締めた。

 現職が退き、新人七人が立候補した前回の町長選で保守系の票が割れたのを踏まえ、今回は地元選出の自民都議の支持者らが候補を一本化。三辻さんは「三十七年間の行政経験で培った都や国とのパイプを生かした町づくり」を訴えた。選挙期間中は、推薦する自民の石破茂地方創生担当相らが応援に駆けつけた。

 一方、敗北した川島さんは町役場前の事務所で「(相手候補は)政権与党総がかりで、押し返せなかったのは私の力不足。復興、防災は訴えきれた」と支持者らに頭を下げた。

 「被災者に寄り添い、復興の取り組みを加速してほしい」。土石流災害で大きな被害を受けた元町神達地区の老舗旅館「ホテル椿園」の女将清水勝子さん(57)は期待する。

 幸い宿泊客とスタッフ、家族の計六十五人は無事だったが、土砂が流れ込んだ木造二階の本館は大規模半壊。昨年十一月に取り壊した。一部損壊の新館も、二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックを視野に補修したばかりだった。再建するよう励ましてくれる人もいるが、安全性や再建費用、近所で亡くなった人たちのことを考えると、容易に踏み出せない。

 現在は元町地区の別の場所で、実家の小さな民宿を家族で営む。被災前、約八百本のツバキが咲き誇った約一万坪の土地や残った建物をどうするか。不安は尽きない。「先行きをもっと早く、具体的に示してほしい」と望む。

 災害で親族を失った七十代の男性は「復興計画はつくっても、都や国の援助がなければ町は何もできない。住民の声をよく聞いて、着実に復興を進めてほしい」と求めた。

 

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