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あなたの議会みち(上) 政務活動費 首都圏31自治体

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 自治体が地方議員に支給する政務活動費に関する情報のインターネットでの公開状況を、本紙が東京二十三区と首都圏の県庁所在地、政令市の計三十一市区議会に取材したところ、「公開している」としたのは相模原市やさいたま市など十七議会にとどまった。具体的な使途が分かる資料をすべて公開しているのは世田谷区だけ。九市区は収支報告書の閲覧にも情報公開請求の手続きが必要で、住民に開かれているとは言い難い状況だ。

 統一地方選の議会選挙に合わせ、文書によるアンケートや電話で取材した。政務活動費に関する情報は議員からの報告を基に、大きく分けて(1)収支総額を示す収支報告書(2)支出の日付や目的を記した会計帳簿(3)その裏付けとなる領収書−の三種類。ネット公開は、どの程度の内容とするかも含め、各議会の判断に任されている。

 世田谷区は二〇〇六年から議会内で議論し、〇八年度に前年度分についてすべての資料公表を始めた。議会事務局は「透明性を高めるため」と説明する。

 ネット公開している他の十六市区は収支報告書が中心で、領収書はネットでは確認できない。相模原市は市役所で写しを閲覧する方式で、非公開は「議員の代表者でつくる会議で公開するとの決定をしていないため」と説明する。

 ネットで公開していない十四市区の理由は「議会内で合意がない」(文京区)、「取り決めがない」(大田区)、「条例に定めがない」(豊島区)など。文京区や中野区、水戸市など九市区では、収支報告書を閲覧したい場合でも情報公開請求が必要だ。

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◆「使い道」に市民の目を

 パソコンの画面には、政務活動費の収支報告書だけが映っていた。

 三月中旬、東京都杉並区の市民団体「すぎなみオンブズ」共同代表の角井(かくい)敦子さん(69)は、区議会のホームページで初めて公開された政務活動費の資料を、自宅でチェックした。期待した領収書や会計帳簿は伏せられたまま。「なにこれ…」。思わずため息が出た。

 収支報告書は、区議一人当たり年間百九十二万円支給される政務活動費の支出が、「調査研究費」「研修費」「資料購入費」「人件費」などの項目に分けて記されたものだ。

 区議会は昨年末にネット公開を決めた際、「収支報告書を公開する」としていた。半ば予想はできていたが、「報告書のネット公開は一歩前進。でも会計帳簿や領収書が明らかにされないのでは、議員がどんな活動をしているのか、区民が理解するのは難しい」と憤る。

 角井さんらが活動を始めたのは二〇〇七年秋。「身近な政策を決める区議に、税金から交付される政務活動費の使われ方を調べようと考えた」。以来、閲覧や情報公開の制度を利用し、地道に市民の目でのチェックを続けてきた。

 収支報告書の内容と、領収書や交通費の記録簿などを突き合わせ、政務活動として適切か疑問が生じればメンバーで議論を重ねた。すると、税金が「ザルのようにこぼれ落ちている」実態が見えてきた。

 百九十二万円すべてを切手購入費とした議員、会議の茶菓子代が二十万円を超える議員−。他にもパソコンやデジタルカメラが頻繁に購入されたり、最短経路ではなく交通費がかさむルートを使ったり、大学院に通った二年分の学費を研修費として支出した揚げ句に選挙に出なかった議員もいた。

 住民監査請求を続けるうち、議会側も使途基準を改めた。二〇一五年度分から、切手購入費は年額三万円に制限され、交通費の経路も「誤解を招かないよう説明が必要」とされた。学費も計上できなくなった。

 「普通のおじさん、おばさんが声を上げて、ましになってきた」と角井さん。でも、報告書などのコピー代だけで年間五万円は下らず、法的な手続きで弁護士を頼れば相談料もかかる。活動費はメンバー十数人からの会費と支援者のカンパなどで賄うが、「区民がお金を払って調べなくてはいけないのは本来おかしい」と感じる。

 情報公開に詳しい八坂玄功(もとのり)弁護士は「政務活動費は使途を定めて支給される。本来の目的で使われたかどうかを住民がすぐに確認できるよう、領収書などのネット公開は当然だ」と話す。

 隣の世田谷区は収支報告書はもちろん、詳細な内訳が分かる会計帳簿や領収書もネットで公開しているが、現状では特異な例だ。角井さんは願う。「議員も住民も、全部公開して当たり前という感覚にならないといけない」 (杉戸祐子)

 ◇ 

 あなたにも私にも、最も身近な自治体の議員を選ぶ統一地方選。だが低投票率が続くなど、地方議会は有権者から遠い存在になっていないか。議会や議員の活動がどのように住民に公開されているのか、追った。

 

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