英会話学校最大手NOVAの中途解約金の返還訴訟で、最高裁は受講者に不利になる業者の精算規定は違法だと断じ、消費者保護優先の判決をした。中途解約を防ぐのは教育の質と魅力だ。
「駅前留学」や「お茶の間留学」の巧みなテレビCMで業界売上高五割を占めるNOVAは、一ポイントで一回のレッスンが受講できるポイント数を契約時にまとめて多く買うほど単価が安くなる大量購入割引制度を売り物にしている。
手軽に英会話ができるようになりたいという学生やビジネスマンの需要をつかんできたが、国民生活センターには「予約の時間が取りにくい」「中途解約金の返還額が少なすぎる」などの苦情が過去十年間に八千件以上寄せられている。
今回の訴訟では、中途解約のときの返還金の精算が問題になった。元受講生は中途解約の際に契約時に購入した六百ポイントの単価千二百円で計算した未受講分約三十一万円の返還を求めたが、同社は独自の精算規定により契約時より割高な単価約千七百円で受講済み分を差し引いて計算すると主張していた。
最高裁判決は、同社の精算規定は契約時よりも高価な単価で、「受講者による自由な解除権の行使を制約するもの」と指摘し、中途解約の保障など消費者取引の公正さを確保する特定商取引法(旧訪問販売法)に違反し無効とした。「精算は契約時の単価による」との基準も示し、消費者保護を明確にした。
NOVA側は「精算規定は監督官庁の経済産業省と協議して決めたので問題ない」と強気な主張をしていた。この背景には同法をめぐってあいまいな解釈がされてきたことが挙げられる。同社を相手取った同種の訴訟の中では初の最高裁判決である。返還金の精算基準を高く操作して中途解約を防ぐのではなく、教育の中身を充実させて受講者の信頼を取り戻すことこそ本筋だろう。
特定商取引法は語学教室のほかに学習塾、家庭教師派遣、エステティックサロン、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの六業種を「特定継続的役務」と指定して、多額な前払い金が必要なため中途解約の権利を保護している。
「まとめ買いすれば安い」といううたい文句で大量購入割引制度を導入している業種は、最高裁判決を警鐘と受け止めるべきだ。
昨年十一月の最高裁判決は入学辞退者に前納授業料を返還しない私大の対応を消費者契約法に基づき無効としたが、またひとつ消費者のよりどころとなる司法判断ができた。
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