西松建設事件は自民党の議員には波及しない−。そんな捜査の見通しを政府高官が口にした。聞き捨てならない。中立公正であるべき検察捜査への疑念も招きかねない。真相究明の妨げにもなろう。
資金管理団体の会計責任者でもある公設第一秘書が逮捕された当座、小沢一郎民主党代表は「不公正な国家権力の行使だ」と激しく検察当局を非難、党幹部も「国策捜査」「陰謀」となじった。
これには森英介法相が「検察は不偏不党、厳正公平を旨としている」と反論し、多数の閣僚、自民幹部からも一斉に批判が出た。
もとより法治国家、民主社会にあって検察権力が公正であるべきは当然だ。といって、検察が聖域視されて一切の批判も許さないのでは困るし、逆に批判が度を越すようでは社会がおかしくなる。さすがに小沢氏も「言葉遣いがまずかったなら訂正する」と語り、民主も批判トーンを弱めていた。
その最中の政府高官の発言であった。本紙も含め報道各社が伝えたところでは、高官は西松建設の巨額献金事件が自民議員に及ぶことはないとし、その理由に、小沢氏側に渡ったのよりも金額が小さいこと、逮捕された小沢氏秘書のような西松側への請求書がなく、議員側の「違法性の認識」の立件が難しいことなどを挙げた。
事件捜査は、西松が東北地方の公共事業受注を期待して、実体のない政治団体を通じ年二千五百万円献金するシステムを構築、秘書はかねて違法性を認識していた、との構図で進められているもようで、検察による小沢氏の参考人聴取も取りざたされる。
容疑を強く否定する小沢氏は六日、聴取に応じる意向を述べる一方、請求書については「政治団体からの寄付なので政治団体で事務的に受けたということだと思う。事務的には問題ない」とだけ語った。要所の説明を欠いている。
西松建設の献金は二階俊博経済産業相ら複数の自民実力者側にもなされており、それぞれ返却意思を表明している。問題は献金額の多寡ではないし、返せば済むというものでもない。検察の捜査着手が伝えられる。
西松側との深い関係について小沢氏も自民の側にも、一層の真摯(しんし)な説明が求められている。この段階で政府高官が結論じみた言及をすれば野党から「検察との出来レース」批判が出ても仕方ない。
いかなる意図か。この高官に、公開の場での弁明を強く求める。
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