日本郵政社長人事で麻生首相は鳩山総務相を事実上更迭した。閣僚の“反乱”を抑えられず混乱を長期化させたトップの責任は重大だ。統率力なき政権の惨状が続く。崩壊過程に入ったかのように。
またしても麻生太郎首相のお友達の退場劇だ。閣僚では三人目。先月には側近の鴻池祥肇氏が官房副長官を辞めたばかりで、鳩山邦夫氏は首相支持グループの会長を務める盟友である。迫る総選挙を前に、内部から崩れるさまは政権末期の様相にも映る。
鳩山氏は、日本郵政の「指名委員会」が西川善文社長の続投を五月に決定後、総務相権限で阻止すると主張し続けてきた。「かんぽの宿」売却問題で不透明な入札があったと、今年初めから批判してきた言動に沿ってのことだ。
首相は当初「総務相が適切に判断する」と発言。事態を軽く考えていた節がある。だが、収拾への首相サイドの説得に一切耳を貸さない鳩山氏と、続投を譲らない西川氏の対立は泥仕合に。煮え切らない首相に与党内の不満が充満するに至って「鳩山切り」に踏み切った形だ。
不正郵便などの不祥事が相次ぐのに西川氏が続投することに世間では首をかしげる向きも少なくない。一方、自民党内には、西川氏辞任では郵政民営化が後退するとの懸念も根強い。
「民営化に反対だった」と語って小泉純一郎元首相らから集中砲火を浴びた麻生首相である。鳩山氏の主張を受け入れれば民営化推進派が「麻生降ろし」に動きかねないとの判断もあったに違いない。
辞表を提出した鳩山氏に首相は「悲しく残念だ」と語ったという。鳩山氏は「正しいことが通用しない」との痛烈な言葉も残した。盟友造反の落胆は察するにあまりあるが、お友達内閣をつくったのは首相本人である。
指導力を発揮できない首相と、なれ合いの雰囲気の中でトップの意向を軽んじる閣僚−。これが政権のお寒い現実だ。
厚生労働省の分割でも首相指示はいつの間にかあいまいになり、結局は朝令暮改となった。総選挙へ得点を稼がねばならない時期に昨年来の迷走を続け、自滅の道を歩むのは何とも皮肉な展開である。
鳩山氏辞任を受け、行動を共にすると政務官辞任を表明する議員も現れた。政権の体をなしているといえるのだろうか。「政治空白」のつけが国民に回ってくるのではたまらない。
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