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【社説】

サウジ国王来日 国家改造と地域安定と

 中東の安定とともに日本のエネルギー安全保障にも不可欠の国だ。サウジアラビアの国王が四十六年ぶりに来日した。サウジが石油依存脱却を目指して進める国家改造を、日本も後押ししたい。

 十三日にサルマン国王と会談した安倍首相は、サウジの改革プラン「ビジョン2030」に官民挙げて協力する意向を表明した。

 世界最大級の産油国サウジには、原油価格の低迷に加え、隣国のイエメン内戦に軍事介入した戦費が重くのしかかる。ここ数年は赤字財政を余儀なくされている。

 一バレル=一〇〇ドルを超えたひところのような油価は、米国のシェール革命によってもはや望むべくもない。このままでは国の行く末は先細りになるという危機感から、国王は若きムハンマド副皇太子(31)に改革のかじ取りを任せた。

 サウジは三十歳未満が全人口の六割近くを占める。増え続ける若者の雇用の場を確保するためにも石油以外の産業を生み出し、石油頼みから抜け出すのがビジョン2030の眼目だ。

 脱石油の試みは挫折を何度も繰り返してきた。今回も補助金削減や付加価値税の導入といった痛みを伴うメニューもある。野心的な計画である分、激しい抵抗は避けられない。

 サウジは豊かなオイルマネーを国民にばらまくことで王室支配を維持してきた。国家改造は王室だけでなく、国家丸抱えで養われてきた国民にも意識変革を迫るものだ。人々の英知を期待したい。

 一方、海外に目を転じれば、中東地域の覇権を争うイランの台頭が、サウジにとって最大の懸案である。イエメン内戦に介入したのも、イランが後ろ盾のシーア派武装勢力をたたくためだ。

 頼みとするのは米国だ。一九四五年、ルーズベルト米大統領はヤルタ会談の帰路、サウジ建国の父アブドルアジズ国王と洋上会談した。サウジが米国へ石油を安定供給する代わりに、米国はサウジの安全を保障するという同盟関係の始まりだった。

 ところが、オバマ前政権がイランとの和解に向かったことから関係は悪化した。それだけにイランを敵視するトランプ政権の誕生は、サウジには朗報だ。中東への関与回復を米国に期待している。

 イラク戦争と民主化要求運動「アラブの春」を引き金に、中東情勢は混迷を深める。サウジの国家改造の成功は地域の安定にもつながるだけに応援したい。

 

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