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【社説】

電力自由化1年 “選べる”ということは

 電力自由化が家庭に及び、私たちが電気を選べるようになって一年。世はまさに石炭・石油と原子力の時代から、太陽や風の時代への転換期。電気を選ぶということは、未来を選ぶということだ。

 この一年で三百万以上の家庭が、新規参入の電力会社(新電力)に切り替えた。

 都市部を中心に全契約数の5%。まだまだ模様眺めの家庭も多い。当然だ。

 電力自由化の意義は“選べる”ということだ。大手電力会社の地域独占の壁の中、これまでずっと選択不可能だった家庭用電力の供給先が選べるようになったのだ。

 たとえば国営放送一局だったテレビが、突然、多チャンネル化したようなものである。戸惑うのは当たり前なのだ。

 大手電力、ガス、通信、石油…。さまざまな業界が地域を越えて連携し、複雑なセット料金のプランを提示して、“お得さ”を競い合う戦国時代。ならばなおさら、私たち電力消費者は、大いに迷い、学び、考えながら、選択の自由を謳歌(おうか)したい。

 しかし、過渡期の値引き競争はやがて底を打つ。乱世は終わる。新たに育つ電力市場を太平に導くものは、原発ではなく、再生可能エネルギーになるはずだ。

 原発が本当は高くつくことを、3・11が明らかにした。

 原発の安全には際限なく費用がかかる。世界最大の原発メーカー、仏アレバ社は、欧州での建設コストが膨らみ経営危機に瀕(ひん)している。東芝は米国での原発事業の失敗で巨額の債務超過に陥った。

 一方、地球温暖化対策の緊急性も高まって、風力や太陽光には文字通り、地球規模の追い風が吹いている。普及が進めば、コストは下がり、料金も安くなる。ケータイと同じである。

 堺市の大阪いずみ市民生活協同組合は、再生可能エネルギーの普及をめざして新電力に参入した。「再生エネでも割高にしない」のがモットーだ。

 一般家庭で発電された太陽光の電力などを定額で買い取る制度を使って調達した再エネ電力の割合は約四割。昨年四〜十月の家庭用新電力販売量で、ソフトバンクグループのSBパワーに次いで、全国十一位に食い込んだ。組合員が、エネルギーの安心安全を求めた結果だろう。

 自由化一年。電力会社を“選べる”時代は、電源を“選ぶべき”時代へ移りゆく。 

 

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