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【社説】

シリア化学兵器 ロシアの責任は重い

 こんな戦争犯罪が何度繰り返されればすむのか。化学兵器を使ったとみられるシリア政府軍の空爆だ。自国民を虐殺するアサド政権は正統性を失っている。その後ろ盾であるロシアの責任も重い。

 トランプ米大統領は五日、アサド政権は「いくつもの一線を越えた」と非難し「シリアとアサド大統領への私の考えは大きく変わった」と述べた。

 米政府はアサド氏の退陣よりも、過激派組織「イスラム国」(IS)打倒を優先する方針へ政策転換を鮮明にしたばかりだった。トランプ発言は一転してアサド政権に厳しい態度で臨む意向を示したことになる。

 これに呼応してヘイリー米国連大使も「国連が相変わらず集団行動を取れないのであるならば、独自の行動を取らざるを得ない」と述べ、国連安保理の対シリア非難決議採択に反対するロシアに強く警告した。

 オバマ前大統領が化学兵器使用を「レッドライン(越えてはならない一線)だ」とシリアに警告しながら、最終的には武力行使を断念したことを、トランプ氏は批判してきた。それだけにトランプ、ヘイリー両氏の発言は脅し以上の重みがある。

 一方、アサド政権とロシアは化学兵器の使用を口をそろえて否定する。

 だが、国連と化学兵器禁止機関(OPCW)は昨年、政府軍が二〇一四年と一五年にも化学兵器を使ったと認定した。

 これを受け、国連安保理がこの二月に対シリア制裁決議を論議したが、ロシアは拒否権を行使し、中国もこれに同調して葬った。

 本来ならロシアはアサド政権の暴走を止めるべきではないか。反体制派の拠点だった北部アレッポに対する政府軍とロシアの攻撃でも、民間人の犠牲もいとわぬ姿勢は目に余った。

 この三月で七年目に入ったシリア内戦は、死者は三十万〜四十万人に上り、国外に逃れた難民は五百万人を超える。

 戦況はロシアが一五年秋に軍事介入したことが転機となり、政府軍は昨年末にアレッポを制圧して優位を確立した。和平協議もロシア主導で進む。こうした情勢を見ても、今回の化学兵器使用は理解に苦しむ。

 ロシアが国際世論に背を向けてアサド政権をかばい続けるのならば、不名誉な評価が定着するだろう。プーチン大統領に再考を促したい。

 

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