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【社説】

豊洲市場問題 小池氏は判断を早く

 築地市場を豊洲市場へ移すべきかどうか。小池百合子東京都知事は早く結論を出すべきだ。都議選の争点となれば、食の安全安心が振り回されかねない。トップの責任を都民に転嫁してはなるまい。

 築地市場の移転問題を検討するとして、小池氏は市場のあり方戦略本部を立ち上げた。築地を再整備する案もテーブルに載せ、移転の可否を決めるという。

 食の安全安心にとどまらず、中央卸売市場としての採算性や利便性といった多角的な視点から検討を深めるねらいがある。税金の使い方をふくめ、一気に課題を押し広げた形だ。

 築地残留か、豊洲移転か。市場業者をはじめ都民の賛否は割れている。小池氏にとって、手持ちの判断材料が豊富なことに越したことはないだろう。しかし、首都圏の台所として安全安心の議論が後退しては元も子もない。

 先週、都の市場問題プロジェクトチームは、築地改修案と豊洲移転案を業者に示した。

 築地で営業しながら再整備する案では、完成まで七年、総事業費は七百三十億円余と試算している。豊洲を壊し、マンションや商業施設の用地とすれば最高四千四百億円近くで売れる。売却益は豊洲整備費の回収に充てるという。

 六千億円近くを投じた豊洲への移転案では、開場後に年間百億円程度の赤字が見込まれる。業者の使用料を値上げしたり、都内の十一市場の整理縮小や税金投入が必要になったりするという。

 築地残留を支持するかのような立場に映るが、その案には疑問が残る。土壌の汚染がないことを前提に積み上げているからだ。

 都の地歴調査では、戦後に進駐軍がドライクリーニング工場を建て、有機溶剤を使っていたようだ。給油所や車両整備工場が設けられた時期もあった。土壌汚染の恐れがあるとして調べるという。

 汚染が見つかれば、対策を要するはずだ。豊洲と同様に飲み水の環境基準を地下水に適用すると、費用は大きく膨らむに違いない。

 二つの案を比べるには、条件を等しく設定すべきだ。経済合理性ばかりに議論が傾くようでは、都民の理解は得られまい。

 食の安全は科学的、法律的な根拠で担保する。ならば、消費者心理に根ざす安心感、信頼感を勝ちうるにはどうすべきか。

 信任厚いリーダーの納得できる説明と「安全宣言」に尽きる。政治的な思惑や利害の対立で信任を失えば、だれも耳を貸すまい。

 

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